2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 孝二 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (40134639)
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Keywords | 励起状態 / 有機固体発光材料 / 蛍光 / ESIPT / 結晶 |
Research Abstract |
本研究は複数の芳香環が回転可能な単結合で結ばれた有機化合物群を対象として、固相中での集積構造に基づく励起状態制御という新しい方法論に基づき、固相であるが故に強い発光を示す材料を開発するための分子および材料設計指針の確立を目的とする。研究計画に基づき、本年度は分子内プロトン移動(ESIPT)型有機発光物質について以下の成果を得た。 1.固相ESIPT発光を示す新規分子の設計 固相でのみ強いESIPT発光を示フェニルイミダゾピリジンを基本骨格とし、合成化学的に種々の置換基を導入して単分子レベルの電子状態変化とそれにともなうESIPT発光特性変化について検討した。その結果、イミダゾピリジン環に電子吸引性基を導入すると溶液中のESIPT蛍光は20-70nm長波長シフトした(量子収率:~0.01)。一方、固相ESIPT発光も同程度の長波長シフトが見られ、さらに量子収率は0.1-0.3と比較的大きいものであった。 2.固相ESIPT発光特性と分子集積構造との関連性評価 固相ESIPT発光特性と分子集積構造との関連性について、溶液すなわち単分子の発光特性や単結晶X線構造解析による分子パッキング像などと合わせて検討し、励起状態に与える影響を分子内の効果(置換基導入による電子状態変化、分子のコンホメーション)と分子間の効果(πスタッキング等)に分割して検討するための基本的な知見を得た。これらは今後、計算科学的手法による解析の糸口となるものと考えている。
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