2009 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを指向したネオジム添加新規酸化物単結晶材料の開発
Project/Area Number |
21350111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋口 幹雄 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40198990)
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Keywords | 超短パルス固体レーザー / Ndレーザー / バナデイト / 半導体レーザー励起 / 発光帯のブロード化 / 浮遊帯溶融法 / 単結晶 |
Research Abstract |
Ndを発光中心とした半導体レーザー(LD)励起超短パルス固体レーザー材料の開発の一環として、今年度はNd:LaVO_4単結晶を浮遊帯溶融(FZ)法によって育成し、その基本的な分光学的特性を明らかにした。FZ法によって口径が約5mm、直胴部が約40mmの結晶を育成することができた。結晶中の特徴的な面の存在により口径を一定にすることが難しく、一側面に巨視的なステップが形成された。この特徴的な面のX線回折を利用すると、成長方向は(11-2)面にほぼ垂直であると推測された。偏光顕微鏡観察の結果、小傾角粒界やインクルージョンなどの巨視的欠陥は確認されなかった。また、Ndは育成方向にほぼ一定の濃度でドープされていることがわかった。808nmでの吸収断面積は1.10×10^<-20>cm^2であり、Nd:YAGのそれよりもかなり小さな値となったが、この吸収帯の半値幅は17nmとブロードであるため、LDによる励起には適している。1060nm帯の発光スペクトルの半値幅は10.3nmであり、これは実際に超短パルス発振が実現されているYb:YAGの半値幅8nmよりもブロードである。また、Ndを4mol%ドープした結晶でも蛍光寿命は73μsであり、Nd:YVO_4の蛍光寿命90μsとほぼ変わらない結果であった。吸収断面積が小さいといった欠点もあるが、ブロードな発光帯をもち、高いドーパント濃度でも比較的長い蛍光寿命を持つこと、さらに従来検討してきたCa-La-V-O系の結晶に比べて育成が比較的容易であることから、Nd:LaVO_4単結晶は超短パルス固体レーザー用材料として有望であることが明らかとなった。Ca-La-V-O系の結晶についてはFZ法による育成では品質ならびにサイズともに限界があり、レーザーグレードの結晶を得るためには引き上げ法による育成を選択すべきという結論が出た。
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