2011 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを指向したネオジム添加新規酸化物単結晶材料の開発
Project/Area Number |
21350111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋口 幹雄 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40198990)
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Keywords | 超短パルス固体レーザー / Ndレーザー / バナデイト / 半導体レーザー励起 / 発光帯のブロード化 / 浮遊帯溶融法 / 単結晶 |
Research Abstract |
前年度の結果に基づいて,23年度はNd:LaVO_4に集中して研究を遂行し,未検討であった熱伝導率と屈折率の測定およびレーザー発振実験をおこなった.熱伝導率については,温度波熱分析法および示差走査熱量測定法により熱拡散係数および比熱を計測し,それらの値に密度を乗することによって決定した.Nd:LaVO_4の熱伝導率は2.5~3.5W/m□Kにあり,光学的弾性軸方向別にみた場合には,Z軸方向が最も高い値となり,X軸およびY軸方向はほぼ同等であった.また,Nd濃度の増加に伴い熱伝導率は低下する傾向があり,1%と5%の比較では20%程度の低下が認められた.屈折率は2.09-2.22という値であり,Z軸に平行な方向では複屈折がほとんど生じておらず,端面励起ではZ軸に平行に励起ならびにレーザー発振をおこなう方が有利であることが確認された.得られた屈折率に基づいて端面に励起光に対する無反射コート等を施した結晶を用い,812nm帯を励起光とし,結晶の冷却を施さない状態でレーザー発振実験をおこなった.マルチモード発振では,1064nmを中心として,1057~1072nmにわたるレーザー発振スペクトルをとることができた.このスペクトル幅から,およそ300フェムト秒程度の超短パルスの発生が期待できる.入出力特性については,出力ミラーの透過率を10%とした場合に,約76%という最大のスロープ効率が得られ,ほぼ理論値に近い値となった.この場合,しきい値は0.45W程度とNdレーザーとしては若干高くなるものの,Ybレーザーの約1.2Wと比較すると格段に低くできる.また,現段階で得られている最大のレーザー出力は232mWであり,光-光変換効率は約39%となった.以上の結果より,Nd:LaVO_4は半導体レーザー励起による超短パルスレーザー用材料として極めて有望である.
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Research Products
(4 results)