2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350115
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
今西 誠之 Mie University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20223331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 敦 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60324547)
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Keywords | リチウムイオン電池 / インターカレーション / 電荷移動抵抗 / Pulsed Laser Deposition / 電気二重層 / キャパシタンス / 活性化エネルギー / 頻度因子 |
Research Abstract |
電極反応の高速化は電池の高出力化に直接関与する。HEVやPHEVと呼ばれる電気自動車に搭載される電池には高出力が求められるので電極反応の高速化は重要な課題である。PLD法によって表面が平滑で結晶配向性が揃ったLiMn_2O_4電極薄膜を合成し、その表面で起こる電極反応について、特に反応抵抗値の決定因子について研究を行った。この決定因子には電極の表面積があるが、粉末やスパッタリング電極ではその制御や見積もりは困難である。PLD法で作成した電極は平滑であるため、このパラメータの不確実さを排除し系を単純化することができる。まず電解液の濃度が1~0.01Mの間では測定した界面抵抗値は濃度の逆数の対数にほぼ比例する形式で単調に増大した。つまり電解液のリチウムイオン濃度が高いほど反応速度は速くなる。次に電極のリチウムイオン濃度を減少させながら抵抗値を測定したところ、最初は単調に減少し途中から増大に転じた。これは全ての電解液濃度で観測されたので電極側の事情である。前半の抵抗値減少は電極表面のリチウムイオン空サイト数が増大するためで、電極の表面全体が反応サイトではなく、空サイトのみが反応サイトであることを見出した。後半の抵抗値増大については電極内リチウムイオン濃度の減少が理由と推測される。ここで電解液濃度が非常に高い場合には後半の抵抗増大は顕著ではないことに着目した。この領域ではキャパシタンスの急激な増大が観測されることから、アニオン特異吸着が発生している可能性が示唆された。この事実は電極反応の高速化に有効と考えられる頻度因子の増大に、電極表面修飾が有効であることを示している。以上まとめると抵抗値を決定している因子には、(1)電解液中のLi量、(2)電極表面のLi空サイト、(3)電極内の可動Li濃度、(4)電極表面へのアニオンの特異吸着があると考えられる。
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Research Products
(18 results)