2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソルボサーマル反応による硫化物ナノ粒子の合成と酸素還元触媒の開発
Project/Area Number |
21350116
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
柳澤 和道 高知大学, 研究教育部・総合科学系, 教授 (90145110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小槻 日吉三 高知大学, 副学長 (80093954)
恩田 歩武 高知大学, 研究教育部・総合科学系, 助教 (80335918)
|
Keywords | ソルボサーマル反応 / カルコゲン化合物 / 酸素還元触媒 |
Research Abstract |
金属カルボニルとイオウを高温高圧のプロパノールなどの有機溶媒中で反応させることにより,10nm以下の微結晶が凝集した単分散球状粒子が生成するが,23年度は引き続き,硫化モリブデンに着目しその単分散球状粒子の生成機構に関して研究を実施してきた。その結果,単分散球状粒子は硫化モリブデンだけではなく炭素も含有していること,球状粒子は反応の初期に生成することなどから,球状粒子は原料のモリブデンカルボニルからのカルボニルの離脱と溶媒に用いたプロパノールの縮合によりモリブデンを含有した球状炭化水素重合物の生成が引き金になるものと推察した。この結果は,論文として公表することができた。 同じ方法で,他の硫化物も合成した。特に硫化ロジウムに関しては,炭素を添加して合成実験を行ったところ,比較的高い酸素還元触媒能を有する試料が作製できた。透過型電子顕微鏡で観察したところ,炭素を添加した場合には球状粒子が生成しておらず,硫化物は分散した状態で炭素に担持できていることがわかた。この試料の酸素還元触媒能が,炭素を添加せずに合成した硫化ロジウムに後から炭素を加えて物理的に混合した試料よりも高い値を示した原因は,硫化物の分散性に起因するものと考えられる。この結果も,論文として公表することができた。 先に硫化物に替えてセレン化物の合成を試み,硫化物よりも優れた酸素還元触媒特性を有することを見出した。23度も引き続き,より触媒能の高いセレン化物試料の合成条件を探るために研究を実施し,その研究は現在も継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫化物球状粒子の生成に関し結果を論文にまとめることができ,硫化ロジウム系の試料の酸素還元触媒特性に関しても論文にまとめることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ソルボサーマル反応による球状硫化物の合成反応を,原料や溶媒の種類を変えて実施することにより,合成方法として一般化する。また,より高い酸素還元触媒特性を有することが期待できるセレン化物に着目し,合成条件が触媒特性におよぼす影響を検討し,高い酸素還元触媒特性を有する触媒の合成条件を決定する。
|