2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宇山 浩 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70203594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 敬 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90425041)
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Keywords | ポリ乳酸 / 分岐状ポリ乳酸 / 可塑剤 / 結晶核剤 / ヒマシ油 / バイオマス / バイオマスプラスチック |
Research Abstract |
今年度は主にバイオポリオールである油脂成分をコアとする分岐状ポリ乳酸の合成を行い、ポリ乳酸用添加剤としての性能を評価した。分岐状ポリ乳酸は開始剤にヒマシ油を用い、スズ系触媒存在下にラクチドの開環重合により合成した。分岐状ポリ乳酸はラクチドと開始剤の仕込み比により容易に分子量制御が可能であった。分岐状ポリ乳酸をポリ乳酸に少量添加して作製したシートはポリ乳酸単独と同等の優れた透明性を保持していた。分岐状ポリ乳酸が分子内に乳酸鎖を有しており、ポリ乳酸との相溶性が高いためと考えられる。分岐鎖にL体の乳酸鎖を導入した分岐状ポリ乳酸を添加したシートでは、ポリ乳酸単独と比較して破断ひずみが著しく向上した。5wt%といった少量添加で優れた可塑化効果を示し、最大応力の低下も抑制された。DL体の分岐状ポリ乳酸を添加した場合にも同様の効果が見られた。これらより、L体、DL体の分岐状ポリ乳酸のポリ乳酸に対する高い可塑効果が明らかとなった。一方、D体の分岐状ポリ乳酸を用いたシートの引っ張り試験においては、応力が上昇し、破断ひずみはポリ乳酸単独と同程度となった。シートのDSC測定を行ったところ、冷却過程においてポリ乳酸単独シートでは結晶化ピークが見られないのに対し、D体の分岐状ポリ乳酸を添加したシートでは結晶化に由来するピークが観測され、冷却時に結晶化したことがわかった。また、昇温過程において210℃付近にピークが見られたことから、D体の分岐状ポリ乳酸の添加によりL体であるポリ乳酸とステレオコンプレックスが形成したことがわかった。分岐状ポリ乳酸とポリ乳酸との界面に存在するステレオコンプレックス結晶がポリ乳酸の結晶化を促進し、結晶核剤として作用したと考えられる。
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