2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチャネルエピタキシーによる赤外線受光用大粒径鉄シリサイド膜
Project/Area Number |
21360002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末益 崇 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40282339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 賢輔 神奈川県産業技術センター, 電子技術部, 主任研究員 (70426360)
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Keywords | マイクロチャネルエピタキシー / MOCVD / 鉄シリサイド / 種結晶 / 赤外受光素子 |
Research Abstract |
環境半導体β-FeSi_2は、資源が豊富で無毒なFeとSiからなり、約0.85eV付近に直接遷移端が、約0.75eV付近に間接遷移端が存在する。また、間接遷移型半導体であるにもかかわらず、1.0eV以上の光に対して10^5cm^<-1>以上の大きな光吸収係数を持つ。さらにSi基板上への配向性結晶成長が可能であり、発光受光素子に応用可能な高品質結晶薄膜をSi基板上に形成できる可能性がある。このようにβ-FeSi_2は1.3~1.6μm帯で動作する次世代の発光受光素子材料として、非常に有望である。本研究では、β-FeSi_2薄膜を用いた発光受光素子の特性改善を目的に、水素援用分子線エピタキシーによる低残留キャリア密度化およびマイクロチャネルエピタキシーによる大粒径化に向けたβ-FeSi_2薄膜成長条件の最適化を行った。基板に、比抵抗約1000Ω・cm以上のFZ-n-Si(111)基板、または石英基板上に約1μmの比抵抗約1000Ω・cmのFZ-η-Si(111)層を張り合わせたSOI基板を使用した。まず、RDE法にて基板温度650℃で約20nmのβ-FeSi_2テンプレートを形成後、β-FeSi_2薄膜をMBE法にて基板温度750℃で成長した。原子状水素はタングステンフィラメントを有するクラッキングセルにより供給した。原子状水素供給量はMBE装置の背圧(水素背圧)により制御し、8×10^<-5>Paまたは8×10^<-4>Paとした。水素照射しながら成長した試料では、伝導型がn型に変化し、電子密度は10^<16>cm^<-3>台を示した。移動度もそれに伴い上昇し、100~300cm^2/V・s程度となった。このように、as-grown膜で初めて10^<16>cm^<-3>台のキャリア密度を実現した。マイクロチャネルエピタキシーについては、Si(100)基板上に厚さ5nm程度のSiO^2膜を堆積し、フォトリソグラフィーにより直径2μmの穴を形成した。この基板上にFeを蒸着し、Si基板がむき出しの領域に熱反応堆積法によりβ-FeSi_2を形成して種結晶とした。SiO_2上のFeはエッチングで除去し、その後、基板上のSiO_2膜をバッファードフッ酸で除去し、MOCVD法によりβ-FeSi2を形成したところ、種結晶から横方向にβ-FeSi2の選択成長を実現した。
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