2009 Fiscal Year Annual Research Report
導電性LB膜を用いたソフトな電極形成技術の開発とバイオセンサへの適用
Project/Area Number |
21360006
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大貫 等 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 助教 (60223898)
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Keywords | 導電性有機薄膜 / ラングミュア・ブロジェット膜 / バイオセンサ / 有機伝導体 / 酵素 / 自己組織化膜 |
Research Abstract |
本研究は、高い電気伝導特性を有するLangmuir-Blodgett(LB)膜をソフトな電極材料として用いることで、これまで電極形成が極めて困難であった生体分子および有機超薄膜など非常にデリケートな物質群に対し、その機能を失活させることなく電気的なコンタクトを確立する技術の開発とそのバイオセンサへの適用である。 ソフトな電極としては、本研究室で開発を進めてきた金属的電気伝導特性を示すBEDO-TTF/ステアリン酸LB膜を用いた。本年度は、酸化酵素によるアンペロメトリー型バイオセンサの特性向上に焦点をあて、研究を進めた。具体的には、LB膜内に固定化されたプルシアンブルー(Fe^<III>_4[Fe^<II>(CN)_6]_3,PBと略)と酸化酵素(グルコース酸化酵素またはコレステロール酸化酵素)より構成される超薄膜バイオセンサをとりあげ、導電性B膜による表面コーティングを行った。その結果、測定感度の倍増と高濃度領域側への直線性の大幅な向上が見いだされた。これは、絶縁状態にあった表面近くのPBクラスタが、導電性LB膜コーティングにより通電状態となることで電気化学的に活性化され、センサ性能が向上した結果であると考えられる。 また、次年度実施予定の抗原-抗体反応を検知する新規バイオセンサの開発において必要となる、たんぱく質の化学結合による固体基板上への固定化法の開発を行った。カルボン酸終端された自己組織化膜表面をEDC/NHSで活性化し、たんぱく質であるグルコースオキシターゼを結合させた。各反応段階における表面修飾状態をAFMおよびIR-RASで調べたところ、確かに予想された反応が進行していることが分かった。従って本手法に従えば、各種たんぱく質を固体基板上の自己組織化膜に結合させることができる。さらに、試料表面をナノサイズPBを含むLB膜で覆うと、非常に低電位で測定可能なグルコースセンサが構築できることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)