2010 Fiscal Year Annual Research Report
導電性LB膜を用いたソフトな電極形成技術の開発とバイオセンサへの適用
Project/Area Number |
21360006
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大貫 等 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教 (60223898)
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Keywords | 導電性有機薄膜 / 自己組織化膜 / バイオセンサ / 酵素 / 電気化学インピーダンス法 / くし型電極 / トンネル電流 |
Research Abstract |
本年度の目的は、1.アンペロメトリー型バイオセンサの感度を大幅に引き上げる手法の開発、2.ナノギャップ電極間で抗原-抗体反応を検知する新規インピーダンス型バイオセンサの開発、3.金属的電気伝導性を示すLB膜電極によるトンネル素子の開発である。具体的には、1.自己組織化膜(SAM)上に化学結合させた酵素からの信号をアンペロメトリーで捉える際SAMの膜厚方向の電気伝導特性のセンサ感度への影響の評価、2.インピーダンス法で抗原-抗体反応を捉えるための高効率くし型電極の作成およびその特性評価、3.C12-SAMを絶縁層に用いた金属-絶縁体-導電性LB膜のMIM接合トンネル素子の作成、を行った。以下のことが明らかになった。1.電気伝導特性が大きく異なると予想される、すなわちアルキル鎖長が極端に異なるSAMでセンサを作成したところ、アルキル鎖長が短く電気伝導度が高い試料においてより高い感度のセンサが作成できることが分かった。これは、酵素反応による電気信号はSAMを通過して伝わるため、SAMの電気伝導特性がセンサ感度に大きく影響を及ぼすことを示している。2.メタルマスクを用いた真空蒸着法により100μm間隔のAuくし型電極を作製した。SAMを通じて電極上にアビジンを化学結合させ、アビジン-ビオチン結合反応によるビオチン吸着をインピーダンス測定により評価したところ、現時点で報告されているセンサと同等の性能が確認された。この結果は、さらにくし間隔を狭めることにより高効率くし型電極を開発できる可能性を示唆している。3.C12-SAMによるMIM素子では、トンネル現象による非線形なI-V特性が観察された。解析より、これまでにAFM等により微小領域で得られたトンネル障壁パラメータとほぼ同等の値が得られた。このことは、本研究でのMIM構造が良好なトンネル接合素子として働くことを示している。
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Research Products
(8 results)