2011 Fiscal Year Annual Research Report
導電性LB膜を用いたソフトな電極形成技術の開発とバイオセンサへの適用
Project/Area Number |
21360006
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大貫 等 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教 (60223898)
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Keywords | 導電性有機薄膜 / 自己組織化膜 / バイオセンサ / 酵素 / 電気化学インピーダンス法 / くし型電極 / トンネル電流 |
Research Abstract |
昨年に引き続き研究目的を次の通りとした。1.超薄膜アンペロメトリー型バイオセンサの感度増大手法の開発、2.交流インピーダンス法による高感度免疫センサの開発、3.金属的電気伝導特性を有するLB膜を電極に用いたトンネル接合素子の開発。昨年度中に得られた成果を発展させ、次の実験を行った。1.ベンゼン環を主鎖に持つ自己組織化膜(SAM)を使用し、SAMの電気伝導特性を高めた試料のセンサ特性を評価した。2.フォトリソグラフィー加工により、電極間隔を狭めたくし型基板によるヒトIgA(immunoglobulin A)抗体センサおよびビオチンセンサを開発した。さらに導電性LB膜コーティングによるナノギャップ化を検討した。3.アルキル鎖長の長いC16-SAMを絶縁層とするMIM接合素子を導電性LB膜電極により作成し、C12-SAMとの比較を行った。これらの実験より以下のことが明らかになった。1.SAMの電気伝導特性の向上はセンサ感度の上昇に大きく寄与する。アンペロメトリーでは電極と酵素間の電荷のやり取りが信号となり、これがSAM膜を通じて行われるため、SAMの電気伝導特性の向上が信号強度に直接寄与する。本研究はこの効果をはじめて実験的に示した。2.微細加工によってこれまでの同種IgAセンサに比べ、一桁低い濃度から検知可能であることが分かった。導電性LB膜コーティングによるナノギャップ化は、ピンホールの形成に大きく依存する。現在までのところ良好なセンシング特性を確認していない。3.C16-SAMによるMIM素子においてもトンネル現象による非線形なI-V特性を確認した。トンネル障壁パラメータはC12-SAMと同様、アルキル鎖由来に一致するパラメータが得られた。本結果は、導電性LB膜がSAM等のデリケートな物質を破壊することなくソフトな電極として使用できることを実験的に示している。
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Research Products
(15 results)