2011 Fiscal Year Annual Research Report
発振波長が温度に依存しないレーザ用希釈ビスマスIII-V族半導体超格子に関する研究
Project/Area Number |
21360008
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉本 昌広 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20210776)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾江 邦重 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20303927)
|
Keywords | 結晶成長 / 半導体物性 / 光物性 / 超格子 / 電子・電気材料 |
Research Abstract |
半金属半導体混晶GaAsBiの禁制帯幅の温度依存性は大幅に低減できる。この特性を活用して最終的には発振波長が温度無依存である半導体レーザを得ることを目指している。本研究では、GaAsBi/GaAs超格子の製作法を確立し、その物性を明確にするとともに、発光の高輝度化を図る。 前年度に容量電圧法によるGaAsBi/GaAsヘテロ接合のバンドオフセットの測定を試みたが、表面あるいは界面に存在する準位の影響により、求められなかった。本年度は、アドミタンス分光法、DLTS法およびICTS法を組み合わせて測定することで、p-GaAsBi/p-GaAsヘテロ界面に8×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>程度の準位が存在することを明らかにした。この界面準位がGaAsBi/GaAs超格子の発光強度を低下させている原因と考えられる。また、バンドオフセットを測定するためには界面密度を1×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>程度に低減する必要がある。GaAsBi表面とGaAs表面の超構造の違いを考慮して、GaAsBi/GaAs界面でGaAsBi組成を緩やかに変化することで、界面密度を低減できることを見出した。 また、従来、GaAsBiではBi混入によりバンドギャップの価電子帯側に浅い局在準位が形成されるとされてきた。さらに、p-GaAsBiの正孔移動度はこの局在準位の影響で、大きく劣化するとされてきた。ドープ量の異なる一連のp形GaAsBiのホトルミネセンス測定から、この局在準位密度は2×10^<17>cm^<-2>程度と見積もった。局在準位の形成に寄与しているBi原子はGaAsBi中のBi原子の10^<-4>程度である。また、これに対応して、本研究のp-GaAsBiではBi組成が4%以下であれば、正孔移動度はGaAsとほぼ同じであることを見出した。本研究では、局在準位密度の少ない良質なGaAsBiが製作できていることを明らかにした。
|