2009 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性窒化物半導体量子構造の物性とスピントロニクスデバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
21360010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 一 Osaka University, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50189528)
江村 修一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90127192)
周 逸凱 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60346179)
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Keywords | スピンエレクロニクス / 半導体物性 / MBE / ナノ材料 / 結晶工学 |
Research Abstract |
本年度は、室温強磁性を示す窒化物半導体ベース希薄磁性半導体の特性向上、新規物性・特性探索の観点から、磁性半導体層と非磁性半導体層からなる超格子構造、量子井戸構造、量子ナノロッド構造の分子線エピタキシ(MBE)法による作製と評価を行い、次のような結果を得た。 (1) GaGdN/AlGaN超格子構造をMBE成長し、X線回折測定により良質の超格子構造が形成されており、また、XAFS測定のより磁性原子GdがIII族サイトを置換していることが確認された。磁化測定の結果、GaGdN単層より磁気モーメントが増大することが観測された。バンドギャップの大きいAIGaN非磁性層からキャリア(電子)がGaGdN磁性層に流入したことによるキャリア誘起強磁性によるものと理解される。 (2) GaGdN/AlGaN多重量子井戸超格子(MQW-SL)構造を成長した。GaGdN量子井戸からのフォトルミネセンス(PL)ピークは磁場中で大きなレッドシフトが観測された。Gdを添加していないGaN/AlGaNMQW-SL構造では極くわずかのレッドシフトしか観測されておらず、磁性原子添加による効果と考えられる。 (3) InGaN/GaGdN多重量子井戸(MQW)構造を成長した。バリア層に磁性原子Gdを添加したこの構造では、キャリアが強磁性層(GaGdN)から非磁性層(InGaN)へ移動するためにキャリア誘起強磁性の抑制が起こり、GaGdN単層より小さな磁気モーメントとなることが分かった。 (4) 自己形成GaNナノロッドの成長中に、Gdの添加を行うことにより、GaGdN/GaN量子ディスクの形成に成功した。
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