2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機FETの短チャネル化による超高速応答有機FETの開発
Project/Area Number |
21360011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 恵 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50437373)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / ナノ材料 / 有機半導体 / デバイス設計 / 製造プロセス |
Research Abstract |
有機FETをサブマイクロメートル領域まで短チャネル化することにより、超高速応答有機デバイスを作成することを目的に研究を行っている。有機FETの短チャネル化に伴う性能劣化にはさまざまな原因があるが、最も大きな原因は素子の寄生容量である。H23年度までに微細加工法によって素子の寄生容量を小さくし、計測上の寄生容量も小さくすることに専念した。結果として約10MHzの応答性までを達成したが、これは目標とした100MHzに比べるとははるかに遅いものである。原因としては寄生容量を下げる為の設計変更や材料変更によって素子本来の移動度が下がってしまったこと、および誘電体表面の膜質改善や接触抵抗の改善は素子の速度を大きく向上する大きな要因とはならなかったことが大きい。 一方で計測にかかる寄生容量の低減に同時に取り組んだ。これは素子の応答速度が50MHzを超えた場合には計測系のケーブル寄生容量によって測定が出来なくなることが明らかである為である。この対策としてプローバーのプローブ直近に設置しプロープと共に移動できるような電流増幅器を購入、アダプタを作製して既存のプローバーに組み込み動作の確認を行った。結果、購入した当初の既存のプローバーが持っている寄生容量の約10分の1近くまで低減することに成功した。まだ安定的な信号の取り込みには最終的に成功していないが、このような取り組みはこれまで計測されてこなかった速度範囲の評価法の新たな試みとして、有機デバイス開発の分野のみならず広く意義のある取組であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一つ一つの素子構造があまりに精緻な加工技術を要する為、実験者の技術力によって大きく差が出て、実験を担当する学生が2年で入れ替わってしまう現体制では素子の作製現場で作業能率が非常に悪い為であることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
低分子および高分子では有機単結晶では不可能な薄膜化や簡便で安価な製造工程が期待出来る。よって本年度はTIPSペンタセン等の低分子薄膜や高分子を用いた短チャネルFETを作製し、これらの高移動度化を目指す。真空内蒸着や有機溶媒の塗布、LB法等、様々な有機膜作成方法に応じた短チャネル効果要因を明らかにするとともに、様々な有機半導体材料を用いた短チャネル有機FET素子を作成しその高性能化を模索する。 また、上記ナノギャップ平坦電極は半導体微細加工技術を用いてSi基板上に作りこんだ電極を用いる為、有機FETの大きなメリットであるフレキシビリティ性を生かすことは出来ない。よってここではフレキシブル基板上への有機短チャネルFETを開発し、有機素子のフレキシビリティ性と短チャネル素子の高速性が両立する道を模索する。 具体的にはフレキシブル基板上に短チャネル有機FET構造を作成する為にはSi基板上の熱酸化膜を使用していた時には必要のなかったゲート電極と誘電体膜の作製から必要となる。また本研究において最も肝要な短チャネル構造を作成する為には、半導体微細加工技術による電子ビームリソグラフィをフレキシブル基板へ応用するか、インプリント法を用いる必要がある。本研究ではその両者を用いて作製を試みる予定である。どちらの方法においてもSi基板上の熱酸化膜上に作製された電極上で発現したような性能の高い短チャネル有機FETを作製するのは容易ではないであろうと想像される。しかしながら性能悪化要因を模索しつつ、素子としての性能向上に努める。
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Research Products
(10 results)