2009 Fiscal Year Annual Research Report
形状基板によるエバネッセント光の空気伝播光変換技術の研究
Project/Area Number |
21360016
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
王 学論 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (80356609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 睦郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (90356717)
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Keywords | エバネッセント光 / 空気伝播光 / 光取出し効率 / リッジ構造 / GaAs / AlGaAs / SiO_2 / 屈折率 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光学的手法を用いて微細なリッジ構造を持つ形状基板において発現するエバネッセント光の高効率空気伝播光変換現象の基本的性質を明らかにすることである。平成21年度では、屈折率の小さい薄膜による多重結合現象を発見し、光の取り出し効率(伝播光変換効率)を従来方法の1.5倍に向上させることに成功した。 具体的に、V字型の溝を持つGaAs基板上にGaAs/AlGaAsの量子井戸構造を成長した後、厚さ約150nmのSiO_2膜(屈折率~1.45)をプラズマCVD法によって試料表面上に堆積させた。低温(4.5K)フォトルミネセンス測定を用いて試料の発光強度を評価したところ、SiO_2膜が堆積された試料は、SiO_2膜のない試料に比べて1.5-1.7倍も強い発光を示すことが分かった。また、角度分解フォトルミネセンスを用いて、発光強度の空間分布測定を行った。発光強度の空間分布データから全空間に放射される光の強度を見積もることにより、SiO_2膜のある試料の光取出し効率は、SiO_2膜のない従来試料に比べて1.54倍に増大されたことが分かった。 次に、上記のSiO_2膜による光取り出し効率向上現象の発現メカニズムを調べるために、有限差分時間領域法(FDTD)によるリッジ頂上付近の電磁波強度分布の理論シミュレーションを行った。その結果、屈折率の小さいSiO_2膜が存在する場合、半導体・SiO_2膜及びSiO_2膜・空気という二つの界面においてエバネッセント光が発生し、エバネッセント光の結合が二重に起きていることが判明した。これによって、エバネッセント光の結合効果が増強され、空気中に取り出される光の量が増えると考えられる。
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Research Products
(7 results)