2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピン依存弾道電子マッピング法の開発と半導体へのスピン注入機構の解明
Project/Area Number |
21360023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50189528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
周 逸凱 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60346179)
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Keywords | スピン偏極 / 走査型トンネル顕微鏡 / スピンエレクトロニクス / 界面・表面物性 / 分子線エピタキシー / トンネル現象 / スピン依存状態密度 |
Research Abstract |
1. GaN上に表面平坦性の良いFeナノ構造を形成し,スピン偏極走査型トンネル顕微鏡(SP-STM)で評価した.SP-STMから得た電流電圧特性から,スピンに依存した状態密度を反映した構造を得ることに成功し,それぞれのナノ構造は単磁区構造であるなどの,各ナノ構造の磁化特性に関する知見が得られた.この結果は,今後のスピン依存弾道電子マッピングを行う上で,スピン注入電極の磁化方向制御および測定に関した有用な知見を与えている.また,Fe膜厚を変えることにより結晶粒径が大きく変化しするに伴い,保磁力が大きく変わることも明らかとなった 2. GaNへのスピン注入効率向上と磁化特性制御に向けて,GaN上への酸化鉄および窒化鉄の形成を行った.酸化・窒化条件により,結晶構造,表面形状および磁化特性が大きく変わることが分かった. 3. 成長条件を変えてGaGdN薄膜をGaNテンプレート上に成長した.Gaリッチ条件下では,GaNより長いc軸を持つ薄膜がコヒーレントに成長するのに対して,Nリッチ側にGaNとa軸c軸ともにコヒーレントなGaGdN薄膜が成長する条件のあることを見出した.また,前者の薄膜内には自然超格子が形成されていることを見出した.室温での磁化特性は両者で同じであったが,その温度依存性に差があり,局在磁気モーメントを持つGdの配列を反映していると考えられる.前者の薄膜では,電気伝導特性がモット式に従うことから,Gd添加により局在領域が出来てその間を可変領域ホッピング型で伝導していると考えられる.縦磁気抵抗測定から,低磁場領域で正の磁気抵抗効果を,高磁場領域で負の磁気抵抗効果が見られた.前者はGdの局在磁気モーメントと伝導電子との間にスピン軌道相互作用が働いている証拠である.後者は,磁場印加により時間反転対称性が破れたことによると考えられる
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