2010 Fiscal Year Annual Research Report
硬x線光電子分光法と第一原理計算を用いた極薄酸化膜の光学的誘電率の研究
Project/Area Number |
21360025
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
廣瀬 和之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (00280553)
|
Keywords | 界面 / 表面 / シリコン / 誘電率 / 光電子分光 / シリコン酸化膜 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
光学的誘電率を推定するために我々が考案した光電子分光を利用する解析手法を用いて,従来MOSFETのゲート酸化膜構造に用いられてきた1.2nm-SiO_2/Si(100)試料と,近年3次元MOSFETのゲート酸化膜構造の対象となった1.0nm-SiO_2/Si(110)試料の極薄膜SiO_2の光学的誘電率を推定した.まずSPring-8放射光を用いた光電子分光実験によりSi1sおよびSi2pの光電子スペクトルを高分解能で測定した.そして,基板Siに対する薄膜SiO_2のスペクトルピークのケミカルシフト(ΔE1s,ΔE2p)を高精度に算出して,相対的ケミカルシフト(ΔE1s-ΔE2p)を決定した.決定した相対的ケミカルシフトの値から,研究代表者がすでに明らかにしている(ΔE1s-ΔE2p)と(ε-1)/(ε+2)との直線関係を用いて,光学的誘電率を推定した.その結果,SiO_2の光学的誘電率はSi(100)基板上で2.41,Si(110)基板上で2.37とほぼ一致することが分かった.これらの値は,昨年度推定したSi(111)基板上の2.50より明らかに小さい. そこで,誘電率が基板面方位に依存することをさらにはっきりさせるために,SPring-8放射光を用いてオージェパラメータの測定を行った.3種類の基板面方位を持つSiO_2/Si試料のSi KLLオージェスペクトルを高分解能で測定して,オージェパラメータ=[Si 1sの束縛エネルギー]+[Si KLLの運動エネルギー]を算出した.決定したSi基板とSi酸化膜のオージェパラメータの値は光学的誘電率の大小を表すことを研究代表者等はこれまでに明らかにしている.その知見をもとにすると,SiO_2薄膜の光学的誘電率は基板面方位に依存することが強く支持された.
|
Research Products
(12 results)