Research Abstract |
本研究の2年目に当たる平成22年度は,以下の成果が得られた. (1)片アームにマイクロリング共振器を有するマッハ・ツェンダー光変調器の特性改善 昨年度,単一マイクロリングマッハ・ツェンダー光変調器の特性改善および位相変化増強効果の実証に成功したが,消光比が7dB程度,位相変化増強効果も2倍程度で,必ずしも十分な値ではなかった.そこで,今年度は素子構造の見直しを行った.すなわち,リング導波路とバスライン導波路の結合率等を変更するとともに,両アームの光パワーのバランスをとるためにリング共振器部での損失を考慮して入力側は非対称分岐として(分岐比X=0.84),消光比の改善を図った.その結果,波長1550.1nmにおいて,半波長電圧3.5V,消光比27dBを得られた.同じ位相変調部長をもつ通常のマッハ・ツェンダー変調器と比較して5倍の変調効率が得ら,消光比と位相変化増強効果の大幅な改善に成功した. (2)両アームにマイクロリングを有する光変調器の試作 マッハ・ツェンダー光変調器の両アームにマイクロリングを設けることで,プッシュ・プル動作によるさらなる低動作電圧化またはコンパクト化を図ることができる.今年度,素子の再作製を行い,変調特性の評価を行った.片方ずつのリングに電圧を印加し,光変調動作を確認した.現在,両リングに電圧を印加してプッシュ・プル動作の検証を行っているところである. また,コア層に採用している五層非対称結合量子井戸層のコア層残留キャリアによって生じる電界不均一性があることを前提にその構造最適化をさらに進め,コア層の場所によって五層非対称結合量子井戸構造を変えることで,全体として大きな屈折率変化が得られることを明らかにした.この構造について,分子線エピタキシー法によりウエハを成長し,フォトルミネセンスやX線回折による評価を行いを,設計どおり成長されていることがわかった.
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