2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子計測用テラヘルツ帯コヒーレントラマン分光手法の開拓
Project/Area Number |
21360031
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
谷 正彦 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授 (00346181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 真理子 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (50521738)
山本 晃司 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (70432507)
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Keywords | テラヘルツ / コヒーレントラマン / 生体分子 / 顕微イメージング |
Research Abstract |
時間領域コヒーレントラマン分光の信号対雑音比をの改善と広帯域化に取り組んだ。本手法では周波数チャープのかかったフェムト秒レーザーパルスを2つに分岐し、再び重ね合わせることで、差周波数一定の励起光を生成する。その干渉計に相当する光学系が不安定になると信号揺らぎが大きくなることが分かり、安定化することで、信号対雑音比を改善することができた。また、フェムト秒レーザー光源として、よりパルス幅が狭く(<40fs)、広帯域なスペクトル(半値全幅で約60nm)のものを用いることにより、約20THz程度まで測定帯域を拡げることに成功した。 一方、コヒーレントラマン分光において常に問題となる非共鳴過程による背景信号を抑制するために、時間領域での微分信号検出を試みた。2つのPump光の光路に厚さ約140μmのスライドガラス(屈折率約1.5)を周期的に挿入することで、時間領域信号の微分、すなわちコヒーレントラマン信号のスペクトル微分を検出可能な「シェーカー」装置を構築した。微分スペクトルを検出することにより、比較的緩やかに変化する非共鳴過程による背景信号は抑制され、共鳴周波数付近で急激に変化する信号は強調される。シェーカーを用いた測定により、期待されたとおり、非共鳴過程による背景信号は抑制されたが、全体としての信号雑音比は大きく改善されなかった。原因としてはスライドガラスによる光路長変化が最適化されていなかったこと、シェーカー動作による機械的振動の抑制が十分でなかったことなどが考えられる。来年度はシェーカー動作の最適化を行い、実用的なシステムとして完成させる予定である。 本研究課題では生体関連分子のテラヘルツ帯ダイナミクスを、振動分光法としてラマン分光と相補的な関係にある吸収分光により研究することも課題の一つとしている。今年度は、分子間水素結合によって多量体を形成すると考えられるプロピオン酸およびプロピオンアルデヒドの純液体をテラヘルツ時間領域分光法により測定した。その結果、プロピオンアルデヒドでは、50cm^<-1>よりも低周波領域でC-H…Oの弱い水素結合に起因する吸収が観測された。 以上のとおり、本年度は時間領域コヒーレントラマン分光の技術開発を行い,またテラヘルツ時間領域分光法により、弱い水素結合についての有用な知見が得られた。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Recognition of Sound-alike Medicine and Dynamics Study of Saturated Hydrocarbon by Terahertz-Time-Domain Spectroscopy (Invited)2011
Author(s)
Kohji Yamamoto, Keita Takagi, Ryouhei Yasuda, Hirokatsu Itoh, Itaru Torii, Kazutoshi Fukui, Masahiko Tani, Seizi Nishizawa, Masava Kawase
Organizer
The 2nd THz-Bio International Workshop
Place of Presentation
Center for THz-Bio Applic ation Systems, Seoul National University, Korea
Year and Date
2011-01-19
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