2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21360032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 康志 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60294047)
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Keywords | ナノ光計測 / 生体分子カイネティクス / 1分子計測 / 金属ナノクラスター / 半導体量子ドット / 計測機器開発 / 表面修飾 / 生体イメージング |
Research Abstract |
生体分子のカイネティクスをナノメートルスケールで計測する手法の確立を目指し、生体分子を標識する半導体量子ドットなどナノマテリアルの位置計測を高感度・高精度に行う光学系の設計および試作を行った。暗視野光学系を照明系に採用し、半導体量子ドットなどからの蛍光を顕微光学系、ズームレンズによる拡大光学系、さらにイメージインテンシファイアーを通して、4分割検出器上に蛍光像を結像した。とくに、拡大光学系により回折限界程度の蛍光像を拡大することで、位置計測の精度の向上を図るとともに、イメージインテンシファイアーにより感度の向上を目指した。200nm径の蛍光ビーズを試料とし、試作装置により位置計測を行ったところ、3.5nmの位置精度を実現した。半導体量子ドットでは26nmの位置精度であった。タンパク質などの生体分子は10nm程度の大きさであることから、1桁程度の精度向上を図る必要がある。光学系の最適化、迷光除去、光検出回路の雑音低減によりこれらの点の改善を行っている。 また、ナノマテリアルにより蛍光標識するさいに生体分子の活性が阻害されない修飾法についての検討を行った。具体的には、抗体の抗原認識部位とは無関係な位置に存在するジチオール基を環元することで、チオール基を活性化させ、アミノ基で修飾した半導体量子ドットと結合させることを考案した。作製した分子プローブをガン細胞へ投与したところ、ガン細胞に特異的に発現する受容体タンパク質を選択的に蛍光標識できることを蛍光イメージングにより明らかにし、考案手法により抗体の活性が維持されることを確認できた。
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