2010 Fiscal Year Annual Research Report
生物に学ぶ色素不要・高輝度・広視野角な構造発色体の開発
Project/Area Number |
21360033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 彰 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90294024)
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Keywords | 構造色 / 応用光学 / 生物物理 / バイオミメーシス / モルフォ蝶 / 干渉色 / 発色体 / 大面積 |
Research Abstract |
平成22年度の年間実績はすでに1年前に提出しており、以下では、繰り越された分につい中心に述べる。本研究の目的は、モルフォ蝶のもつ巧妙なナノ構造をベースにした新規な発色体の開発である。モルフォ発色の最大の特徴は、干渉色だが広視野角で単色という一見矛盾する物理特性であり、色素不要(省材料・環境対応)、高反射率、無退色など従来の発色体にない利点をもつ。この特異な発色体の再現につき、申請者はすでに「基本型の作製」と「量産技術」の開発に成功しており、広い分野で応用が期待できる。しかし、実用には多くの未踏ステップを要する。今年度の焦点は、当初は「色相制御」と「基板フリー技術」の開発であったが、長らく懸案であった「鋳型基板の大面積化・高速化」について、不測の展開があり実現可能な流れが見えてきたため、急遽この課題への舵取りを行い、結果的に正解であった。 従来の量産化はナノインプリントによる基板の複製に頼り、鋳型自体は電子線描画とエッチングで作るためここで決定的にコスト・時間が制限された。この「所定の乱雑さ」「1次元異方性」という異色なパラメータ制御の要るナノパターン作製は、長年他の方法がなかったが、レーザによる自己組織的な加工により、高効率で上の条件を満たすナノパターンが作製可能となった。結果、複製だけでなく、根本の鋳型基板の作製が大面積・高速で可能になった(従来より1000倍の効率)。こうした新たなナノ加工について、学会発表を行う予定であったが、平成22年度(平成23年3月)の震災により当該の学会が中止され(応用物理学会・春)たため、その分の予算を繰り越していた。今年度に予定通り、上記の結果について同じ学会(応用物理学会)の秋の講演で発表することができた。
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Research Products
(2 results)