2011 Fiscal Year Annual Research Report
系外惑星直接観測のための超高ダイナミックレンジ光学系の研究
Project/Area Number |
21360037
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
西川 淳 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (70280568)
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Keywords | 応用光学・量子光工学 / 惑星探査 / 干渉計測 / 補償光学 / 波面誤差 / ナル干渉計 / コロナグラフ / 波面補償 |
Research Abstract |
1995年以来、太陽系以外の惑星(系外惑星と呼ぶ)は、恒星のドップラー速度や明るさの変化などで間接的に約700個が確認され、直接撮像による明るい巨大惑星の検出も13個になり、系外惑星(特に地球型惑星)の直接検出と特徴の分析は現代天文学の最大の課題の1つとなっている。直接検出には、惑星よりも極めて強い恒星の回折光を減光するコロナグラフ手法と、散乱光(スペックル)を抑えるλ/10000rms精度の波面補正法を用いた、10桁以上の広いダイナミックレンジを持つ撮像光学システムが必要である。本研究では、非対称ナル干渉(UNI)と、続けて配置する位相振幅補正(PAC)用の補償光学で、λ/10000rms相当の波面補正を目指し、2段立体サニャックまたは8分割位相マスクをコロナグラフとして結合し、10桁のダイナミックレンジを目指す。 UNI部の安定化のため、新たに発案した4分割位相マスクを用いた非対称ナル干渉計を試行し、時間的に高い安定性を得るとともに、UNIの特徴である波面誤差の拡大現象を理論予測および数値シミュレーションどおり実験でも確認した。UNIの内部の波面誤差について、その上流にある初段補償光学によって除去する際、位相を一致させて除去するよりも電場の虚数部を一致させて除去する方が除去性能が高いことを見出した。PAC部の制御は、波面センサーにおける残差値としてλ/1000rmsに、UNIによる倍率をかけると約λ/6000rms相当に到達した。しかし、達成されたダイナミックレンジは約5桁で頭打ちとなり、偏光子や可変形鏡などの光学素子の構造などによって、波面セシサーの測定にλ/100rmsレベルの波面誤差を生じていると推測される。高精度の8分割フォトニック結晶マスクは、NASA/JPLの高コントラストテスト装置において、20%の帯域で世界第2位の2E-8のコントラストを得た。
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