2011 Fiscal Year Annual Research Report
GPUを用いた粒子法シミュレーションの高速化に関する研究
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21360044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
越塚 誠一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80186668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00391342)
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Keywords | 粒子法 / GPU / 非圧縮性流れ / 陽解法 / 半陰解法 / 擬圧縮性 / 自由表面 / MPS |
Research Abstract |
本研究では、GPU(Graphics Processing Unit)を用いた大規模高速計算のための粒子法の研究(MPS(Moving Particle Simulation)法および離散要素法)を行った。具体的には、以下の3項目の研究を実施した。 (1)陽解法を用いた非圧縮性流れの計算精度に関する研究 陽解法においては音速に仮想的な値を用いる。そこで、音速を流速で除した無次元数であるマッハ数を用いて計算精度を検討した。静水圧問題およびダム崩壊問題において、マッハ数と圧縮性の誤差の関係を定量的に示し、その誤差が許されるような問題では陽解法が有用であることが分かった。また、陽解法においても圧力の数値的な振動が生じ、半陰解法と同程度であった。 (2)GPUクラスターを用いた並列計算に関する研究 現状ではCPUを用いた陽解法の並列計算を研究しており、近傍粒子テーブルの作成には空間バケット分割を用い、またこのバケットを利用して負荷が均等になるように空間分割を行うことで、高い並列化効率が得られた。また、CPU数が増えてもこの並列化効率はほとんど低下しない。従って、流体解析における陽解法は大規模並列計算に適しており、今後、実地形における3次元津波解析に適用していくこととした。 (3)GPUを用いたリアルタイム計算の研究 流体解析における陽解法の計算時間を1千万粒子程度まで調べた。これまで通り、粒子数に対して計算時間は1乗で増加し、半陰解法の1.5乗と比較して高速であるとともに、大規模計算になればなるほどその差が広がっていく。また、半陰解法では圧力のポアッソン方程式を解く部分に最も多くの計算時間が費やされるが、陽解法では近傍粒子テーブルの作成に最も計算時間がかかることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非圧縮性流れの大規模高速計算のための陽解法の開発に関しては、わずかな定式化の修正により、予想よりも高精度な計算ができることが示され、当初の計画以上に研究が進展した。一方、GPUを用いた並列計算については、まだその前段階であるCPUによる並列計算の研究にとどまっており、やや遅れている。総合して、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
粒子法流体解析における大規模高速計算では、陽解法が非常に適しており、従来の半陰解法と比較して13,000粒子において20倍以上の高速化が実現できる。しかも、アルゴリズムが単純で並列化に有利である。擬圧縮性に伴う質量保存の破れが粒子法では本質的に生じないという利点もある。今後は、計算精度をさらに向上させ、実用的な解析ができるような改良を行うとともに、実地形における3次元津波解析に適用する。
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Research Products
(3 results)