2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21360045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
室田 一雄 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (50134466)
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Keywords | 離散最適化 / 凸関数 / 双対性 / 劣モジュラ関数 / マトロイド |
Research Abstract |
本研究の目的は,工学や社会科学の諸分野における最適化の理論と応用を「離散凸パラダイム」によって統合することにある.「離散凸パラダイム」の横糸は構造定理やアルゴリズムなどを代表とする数理であり,縦糸は諸応用分野における具体的な問題であり,その結び目の役割を果たすのがソフトウェアである.この目的の実現のため,「数理の深化」,「応用の開拓」,「ソフトウェアの整備」の観点から研究を行った.具体的な本年度の研究実績は以下の通りである. ・マッチングモデルへ離散凸解析を応用することで,多くの既存のモデルを包含する一般的な枠組みを提案し,安定解の存在を示した.また,これに関する研究を著書としてまとめた. ・劣モジュラ関数を費用関数とする集合被覆問題を導入し,劣モジュラ関数の離散凸性を利用した近似アルゴリズムを設計した.特に,グラフの頂点被覆問題の一般化に対しては,近似比が2となる.これに対して,線形費用関数の場合に多項式時間アルゴリズムの知られているグラフの枝被覆問題に対しては,線形近似比よりも良い多項式時間近似アルゴリズムが原理的に存在し得ないことを示した. ・応用の開拓を進める中で,処理時間が調整可能かつ分割処理可能なジョブのスケジューリング問題について,ポリマトロイド最適化問題として定式化できる,という観察に基づき,分割統治アプローチによりこれまでより高速なアルゴリズムを得た. ・多重グラフにおける均等辺彩色を求める効率的なアルゴリズムを開発した. ・離散凸最適化による予備品在庫管理アプリケーションを開発し,デモンストレーション・ソフトウェアとして公開した.
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