2009 Fiscal Year Annual Research Report
電子材料に用いるカーボンナノチューブの高密度電子流による損傷機構解明と強度評価
Project/Area Number |
21360046
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
笹川 和彦 Hirosaki University, 大学院・理工学研究科, 教授 (50250676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 幹夫 秋田大学, 工学資源学部, 准教授 (50190872)
巨 陽 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60312609)
坂 真澄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20158918)
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Keywords | エレクトロマイグレーション / カーボンナノチューブ / 電子デバイス / 高密度電流 / 信頼性 |
Research Abstract |
本年度は初年度であり,以下の3項目の研究を実施した。 1.カーボンナノチューブ(CNT)の電極への設置方法の検討 ナノストラクチャー(NS)のハンドリング方法の一つである誘電泳動を利用した方法を用いて,CNTを通電試験用電極に設置する方法について検討した。NSを分散させた溶液中に高周波の電場を作用させることによりNS内に分極を生じさせ,電場の勾配方向に働くクーロン力を利用してCNTを所望の位置に移動させた。分散溶液に界面活性剤を混入させることにより,また高周波電場の作用時間と集約量の関係を実験的に調べることにより,再現性よく多数のCNTを局所的に集めると同時に,2つの電極間を跨ぐようにCNTを設置することができた。これにより,バンドル化したCNTの通電試験片を実現した。 2.通電試験条件の検討 電極に設置したCNTに高密度の直流電流を作用させる通電試験を行った。真空ポンプを装備したチャンバーを用い,大気中と低真空中の2種類の雰囲気環境下で通電を行った。室温下で作用させる電流密度を調整して断線に至るまで数日程度となる条件を決定した。室温で同様な電流密度を作用させたにも拘わらず,大気中と低真空中において寿命には大きな差が見られた。CNTの損傷機構として,ジュール発熱による酸化に起因したブレークダウンの存在が確認され,大気中における優位性が見られた。 3.損傷過程の形状観察-1 電極間に設置したCNTの電気抵抗値変化から損傷の程度を検出するため,通電試験中の電極間の電圧変化を計測した。低真空中において長時間にわたる線形的な電圧上昇がみられた。また,走査型プローブ顕微鏡により通電後のCNTの形状変化を観察したところ,陰極側の電極付近でCNTの直径減少と消失がみられたことから,エレクトロマイグレーションによる損傷機構の存在が確認できた。
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