2010 Fiscal Year Annual Research Report
クリープボイドの三次元幾何形状の計測とボイド体積率による新しい余寿命評価法
Project/Area Number |
21360048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 信介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80134469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 聡志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30322069)
原 祥太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (10401134)
山際 謙太 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 研究員 (90371096)
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Keywords | クリープ / 余寿命評価法 / EBSD観察 / 高温強度 / クリープボイド |
Research Abstract |
火力発電プラントの高温機器が抱える損傷モードの一つがクリープである.クリープの余寿命評価法にはAパラメータ法やボイド面積率法など様々な方法があるが,いずれにせよ鋼材中に発生するクリープボイドと呼ばれる微小な空孔の統計的な性質を評価する方法である. しかし,ボイドは3次元の空孔であるものの,現在の余寿命評価法はボイドの断面形状や面積など2次元、の評価にとどまっており,深さ方向の3次元情報は利用されていない.例えばボイドの断面積は等しくても,深さ方向の形状が異なれば損傷の度合いは異なる,したがって,ボイドの3次元形状を調べることで,より高精度に損傷を評価することが可能になる.ミクロ組織の3次元形状を計測する手法に,電子線後方散乱法(EBSD)とシリアルセクショニング法を組み合わせた3D-EBSD法がある. 本研究では3D-EBSD法をクリープ損傷材に適用する際に,結晶方位像と走査型電子顕微鏡(SEM)像を併用することで,ボイドの3次元形状の計測を行った.そして,ボイドを球状・長球状・扁球状・複数のボイドが結合した形状の四種類に肉眼で分類した.さらに,肉眼による分類は定性的であることから,ボイドの形状を定量的に評価するために,主成分分析をボイドの形状に応用した.ボイドは三次元形状なので,3成分の主成分が得られる.これらの成分の構成割合を三角グラフ上にプロットした.三角グラフを中断材と破断材の結果ごとに作成し,ボイドの形状の変化とクリープ損傷の進行との関係を明らかにした.その結果,ボイドはクリープ初期では体積が小さく球形であるが,進行するにつれ長球から扁球へと変化し,同時に体積は増加している.また,余寿命にかかわらず球形かつ体積の小さいボイドは発生していることが明らかになった.
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Research Products
(3 results)