2009 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルナノパターニング技術開拓のための水酸化フラーレン分子加工原理に関する研究
Project/Area Number |
21360064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高谷 裕浩 Osaka University, 工学研究科, 教授 (70243178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 照剛 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00334011)
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Keywords | 水酸化フラーレン / 加工機能性超微粒子 / ナノデジタルパターニング / 材料除去過程 / 分子加工原理 / 表面増強ラマン散乱法 / 加工現象計測・解析 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
本研究は,フラーレン1分子を加工機能性超微粒子として利用することにより,加工量をデジタル的に制御可能なナノデジタルパターニング技術の実現をめざし,フラーレン単分子による加工メカニズムの理解と,それによって得られた加工特性に基づく加工制御技術の確立を目的とするモノである.平成21年度は,フラーレン単分子による化学的材料除去過程の解明と加工量の評価を行うため,以下のような基礎実験によるマクロな加工現象解析およびSERS計測基本光学系の設計・試作を行った. 1. 原子オーダの分解能による加工表面計測と,化学的材料除去過程の知見に基づいた解析的な加工量評価方法を確立するため,水酸化フラーレンによる銅薄膜の研磨加工実験および加工現象解析を行った.加工面のSEM観察,銅イオン濃度のパックテスト,脆性膜組成のXPS解析などによって,C_<60>(OH)_<12>, C_<60>(OH)_<44>, C_<60>(OH)_<36>といった,正の酸化還元電位を持つ水酸化フラーレンは,銅と反応してCufullerenol錯体を形成するが負の酸化還元電位を持つC_<60> (OH)_<26>は錯形成を行わないことが推定される.Cu-fullerenol錯体層は,機械的に除去しやすく,研磨パッドの作用のみで除去可能あることを示した.さらに,C_<60> (OH)_<36>濃度が増加すると,単位時間に生じる錯体膜の量が増加することを明らかにした. 2. フラーレン単分子のラマン散乱分光計測による加工現象計測・解析手法を確立するため,SERS計測基本光学系の設計・試作を行った.フラーレン単分子の微弱なラマン散乱分光計測に最適化するため,特に高輝度でスペクトル特性に優れたLD光源,対物レンズ集光型のエバネセント照明光学系および高分解能・高感度な分光器の選定・実装を行った.
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