2011 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルナノパターニング技術開拓のための水酸化フラーレン分子加工原理に関する研究
Project/Area Number |
21360064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高谷 裕浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70243178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 照剛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00334011)
道畑 正岐 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70588855)
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Keywords | 水酸化フラーレン / 加工機能性超微粒子 / ナノデジタルパターニング / 材料除去過程 / 分子加工原理 / 表面増強ラマン散乱法 / 加工現象計測・解析 / 超短パルスレーザー |
Research Abstract |
本研究は,フラーレン1分子を加工機能性超微粒子として利用することにより,加工量をデジタル的に制御可能なナノデジタルパターニング技術の実現をめざし,フラーレン単分子による加工メカニズムの理解と,それによって得られた加工特性に基づく加工制御技術の確立を目的とする.平成23年度は,特に銅と水酸化フラーレンの化学反応過程をin-situで解析する新たな計測評価手法によって,加工量のデジタル制御性の可能性を左右するフラーレン単分子による材料除去メカニズムをより詳細に理解するため,以下のようなin-situラマン分光分析装置の開発と基礎現象解析を行った. 1.前年度までに構築・改良したSERS計測基本光学系に基づき,伝搬型表面プラズモンと局在型表面プラズモン共鳴によるラマン散乱光を区別して測定可能なin-situラマン分光分析装置を開発した.さらに,銅と水酸化フラーレンの化学的相互作用による表面微細構造の変化と,それに伴うラマン散乱特性の変化からフラーレン単分子加工現象の化学反応過程を解析可能とする計測手法を構築し,ラマンスペクトル分布の時系列変化を調べる基礎実験を遂行した. 2.銅-水酸化フラーレンの化学反応過程において,伝搬型表面プラズモンによって励起されたラマンスペクトルにCu-0伸縮振動のピークが確認された.これにより水酸化フラーレンは銅表面にCu-0-Cの結合で吸着し,Cu-fullerenol錯体による分子レベルの除去作用を担うことがわかった.その結果,フラーレン単分子加工現象の化学反応過程を制御することにより,フラーレン1分子を加工機能性超微粒子として利用するナノデジタルパターニングの加工制御が実現できる可能性を見いだした.
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