Research Abstract |
本研究では,米ぬかを原料とする硬質多孔性炭素材料RBセラミックス粒子を樹脂材料および金属材料に配合することにより,新しい低摩擦・耐摩耗複合材料を開発し,摺動材料として応用することを目指す. 平成21年度では,RBセラミックス粒子を配合した樹脂系複合材料(ベース樹脂;PA66,PA11,PBT,POM,PPの5種類の熱可塑性樹脂)ならびに銅合金/RBセラミックス複合材料を開発した.また,ベース樹脂および銅合金それぞれへのRBセラミックス粒子配合が機械的性質に及ぼす影響を明らかにした. 樹脂材料においては,従来の固体潤滑剤や強化繊維などの充填剤では,20~30wt%程度しか充填することができないのに対して,RBセラミックス粒子を最大で70wt%配合し,射出成形できることを明らかにした.これは,RBセラミックス粒子が多孔質粒子であるため,かさ密度がベース樹脂材料とほぼ同程度の低い値を示すため,比重差による射出成形機内での流動性の低下が見られないためであると考えられる.また,RBセラミックス粒子を配合することで,引張り強度や曲げ強度はわずかに低下するものの,弾性率,ビッカース硬度は増加することが判った.さらに,各複合材料のSEMによる断面観察により,RBセラミックス粒子は凝集することなく,均一に分散していることが判った. 銅合金では,RBセラミックス粒子の平均粒径,添加率の減少にともない,曲げ強度,ショア硬さが増加することが判った.また,RBセラミックス粒子の平均粒径が3μm,添加率が5wt%の場合,最も高強度,高硬度を示すことが判った.
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