Research Abstract |
本研究グループが従来研究開発した,世界最先端の小型化,低溶血性が実証された2自由度制御型磁気軸受を搭載した遠心血液ポンプを対象に,磁気軸受の外乱オブザーバを応用した血液流量推定,粘度推定,磁気軸受システムのロバスト設計,および,磁気軸受用電磁石の不具合に対するフォルトトレランスなどの高信頼化の研究を実施している,さらに,血液ポンプのさらなる小型化を目指すため,1自由度制御型磁気軸受モータを搭載した血液ポンプの実現も目指している. これに対して,H22年度の主要な研究成果は,以下の通りである.1)補助人工心臓における血栓形成を高感度に検出するため,血液の粘度変化を,2自由度制御型磁気軸受を搭載した遠心血液ポンプを利用して検出する方法を検討した.その結果,模擬血液の粘度変化を,磁気浮上遠心血液ポンプの動特性,特に,100Hz近傍のゲイン,位相特性の変化から,高感度に計測可能なことを予備実験から見出した.2)東工大のスーパーコンピュータ(TUBAME2)を用いたCFD解析により,インペラに働く流体力を詳細に計算するための流体モデルを検討した.これにより,フォルトトレランスのため,電磁石故障時も動圧効果によりインペラを非接触支持可能な血液ポンプの形状を今後,探索する.3)1自由度制御型磁気軸受モータを搭載した血液ポンプを試作し,非接触回転成人の補助循環に必要な吐出流量・圧力を達成した.但し,磁気軸受消費電力が高く,今度,ポンプ内の流体によるアキシャルスラストカの低減策を検討する.また,ポンプ効率が10%以下と低く,モータ効率の向上,流体効率の高いインペラ形状の検討が必要である.
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