Research Abstract |
本年度は,まとめの段階として,高分子水溶液を用いた流動制御について,(1)マイクロチャネル内の高分子の挙動に対するすき間の影響を明らかにし,続いて,(2)高分子水溶液の電場によるイオン濃度の調整による流動性の制御および(3)マイクロチャネル内の二液混合に対する高分子の渦発生機能の利用に関して実験的に検討した.その結果,(1)では急縮小部を有するマイクロ平面チャネルに高分子溶液を流し,流路高さが10μm程度になると,高分子の挙動に流路サイズの影響が現れることを流れ場の観察から明らかにした.特に渦の安定性に注目して検討し,流路サイズが小さい場合に粘弾性により生じる渦の不安定性が押さえられることを解明した.また,(2)では高分子溶液のイオン濃度を調整することにより,高分子の形態を変えられ,その結果,流動性の制御が可能であることを示した.そして,イオン濃度調整を電場印加で可能になることをマイクロチャネルを用いて明らかにした。さらに,(3)では高分子添加により生じる渦の不安定性を利用することにより,凸部を有するマイクロ平面チャネル内で二液混合を促進できることを明らかにし,その流路形状による混合効果への影響を解明した. 一方,マイクロ流路中で液体に分散した微小粒子の動きが電場印加により制御することが可能であることを,数値シミュレーションで明らかにし,流体混合に利用できることを示した.また,電場強度による流れの中での粒子挙動を定量的に明らかにした. これらの結果から,実験結果の再現性について,もう少し検討を要するが,マイクロチャネル内で高分子や粒子の動きを制御することが可能であり,二液混合などに応用できることを解明した.
|