2011 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子形燃料電池の拡散層内気液輸送現象ならびに凍結機構の解明
Project/Area Number |
21360089
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近久 武美 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00155300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 豊 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80374578)
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Keywords | 燃料電池 / PEFC / 固体高分子 / 生成水 / 凍結 / 二相流 / 可視化 / 拡散層 |
Research Abstract |
本研究は、燃料電池の内部現象観察と電流密度分布の同時計測、内部水分状態の瞬時凍結法による観察、ならびに高密度比対応LBM法により、燃料電池内の気液輸送現象について解明することを目的としたものである。本年度の研究により、下記の知見を得た: (1)金属製多孔体セパレータは良好なフラッディング特性を有する一方、ドライアウトしやすい特徴がある。このドライアウト性を改善する上で、空隙率を若干下げるほか、冷却水噴霧による直接冷却法が適していることが明らかとなった。 (2)凝縮水の凍結固定化観察実験から、拡散層にあるMPL層は触媒層と拡散層の界面に凝縮水が滞留するのを抑制する効果を持つほか、生成水は蒸気状態でMPL細孔を通過できる可能性を示すことができ、MPLによる性能向上メカニズムを明らかにすることができた。 (3)Cryo-SEMを用いた観察から、酸素濃度や電流密度によって触媒層内の凍結層成長方向が異なる様子が観察され、この現象を触媒層内の電気化学および物質拡散モデルと関連付けて説明することができた。また、主要な反応速度影響因子を特定することができた。 (4)前年度までに作成した触媒層内の電気化学反応モデルの妥当性を実験的に確認し、カーボン粒子を包む高分子中の酸素溶解性が性能に大きく影響していることが分かった。 (5)LBMシミュレーション法の改良を行い、凝縮水排出に適した流路形状を明らかにしたほか、複雑な拡散層繊維構造内の凝縮水挙動をシミュレートできるようになった。
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