2010 Fiscal Year Annual Research Report
流体力による単細胞制御と電気的センシングとの複合技術を用いた細胞変形能の計測
Project/Area Number |
21360095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中部 主敬 京都大学, 工学研究科, 教授 (80164268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
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Keywords | 物質輸送 / 細胞変形能 / マイクロ流路 / 剪断応力 / 剪断応力 / 電場分布 / 速度分布 / 可視化技術 |
Research Abstract |
初年度に引き続き,赤血球(RBC)の変形能計測のためのセンサー電極の設計・試作とマイクロ流路内でのRBCの挙動・形状の可視化・画像処理とを検討する.センサー電極の性能向上を図るには,とくにセンサー電極端のフリンジ効果による不均一な電場分布を平坦化する必要があることが分かった.そのため,センサー電極の両脇にはガード電極を並行配置し,かつ,それら3本とグラウンド電極とを対向配置するように設計変更を行った.センサー電極の製作では,電気特性の最も安定している白金をガラス基板上にスパッタリングして薄膜を形成し,ネガ型フォトレジスト(ZPN)を用いたリフトオフ法で回路をパターンニングした.また,電気2重層の影響を抑制するため電極表面には黒メッキ処理も施した.電極間へ の印加交流電圧とその周波数は初年度から数値解析的にも検討しており,その結果に基づいて,それぞれ1V_p-p,10kHzとした.これによりRBCがセンサー電極間を通過する時に電極間電気的抵抗が変化し,その出力信号をインピーダンスアナライザーに取り込んだ.詳細な電場解析は最終年度にずれ込むが,センサー電極から波形処理可能な信号出力は取得できるようになった。一方,実験に供するRBCは血管内での新鮮なものに比して膜のポテンシャルが低下する,また,RBCは溶液のpHや極性に敏感であることのために,できる限り正常なRBCと同じ状態を保持できる適切な溶液調合が必須であることが分かった.さらに,比較対象とするRBCとして3種類(正常なもの・両凹円盤面形状を保持するもの・球状を保持するもの)を作成するための溶液調合も必要であったが,これまで行ってきたグルタールアルデヒド処理ではRBCが萎縮しすぎることが判明したため,他の調合を急遽こころみており,ほぼその目途はついた.
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