2011 Fiscal Year Annual Research Report
流体力による単細胞制御と電気的センシングとの複合技術を用いた細胞変形能の計測
Project/Area Number |
21360095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中部 主敬 京都大学, 工学研究科, 教授 (80164268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
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Keywords | 物質輸送 / 細胞変形能 / マイクロ流路 / 剪断応力 / 誘電分光 / 電場分布 / 速度分布 / 可視化技術 |
Research Abstract |
本研究では電気的センシングの対象を赤血球(RBC)に絞り,RBCの変形能をこれまでにない電気的計測方法で定量評価することに注力してきた.前年度に検討したガード電極を含む3対の対向型センサー電極の形状が奏功し,フリンジ効果のために不均一だった電場分布が大幅に改善できることを数値解析で確認した.数値解析は3次元化することで流体の局所せん断応力を詳細に検討するだけでなく,電極面からRBC中心までの高さが電場分布に及ぼす影響も検討できるようにした. これらの結果に基づいて適切な形状のセンサー電極をマイクロ流路に実装し,RBC変形能測定デバイスのプロトタイプを製作した.これにRBCを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を流して,センサー電極間をRBCが通過する際の電気信号を解析した.その一方でRBCの変形する様子を可視化するとともに,センサーからの出力信号とRBCの可視化画像との対応づけを行った.具体的には変形度合・形状の異なる3種類のRBC(正常なもの・両凹円盤面状を保持して変形しないもの・球状を保持するもの)を準備して信号波形の違いを確認し,この波形が数値解析結果と良く一致することを示した.可視化結果は画像処理してRBCの変形度(DI値)を求め,DI値に対する電気信号のピーク波形の半値全幅値(δ値)をマッピングした. しかし,数値解析によって電極間中心に対するRBCの高さ位置,スパン方向位置がδ値に大きな影響を及ぼすことが明らかになったので,その結果をマイクロ流路設計に反映させて,側流やステップ流を制御しRBCの位置をできる限り電極間中心に保持できるような工夫を施した.結果として,得られたマップを利用すれば,電気的にδ値を測定することでDI値,すなわちRBCの変形能が計測できることを明らかにし,計測精度的には改善の余地を残すものの当初の目的を達成した.
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Research Products
(9 results)