2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温・温熱ストレスによる細胞の損傷・死滅様式の特性およびその現象論的数学モデル
Project/Area Number |
21360098
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石黒 博 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (30176177)
|
Keywords | 高温ストレス / 温熱ストレス / 細胞損傷・死滅 / 死滅モード / 数学的モデル / 反応速度論的モデル / モデル定数 / 温度依存性 |
Research Abstract |
本研究課題では、各種ストレスによる細胞損傷・死滅の数学モデルの構築を目指す体系的研究の一環として、温熱ストレス(約42~45℃)と高温ストレス(45℃以上)を取り上げ、損傷・死滅様式の特性の実験的解明とその現象論的な数学的モデル化を行う。 本年度は、前年度までに、研究代表者が提案・発展させた、高温・温熱条件のストレスによる細胞の損傷・死滅特性を記述できる反応速度論的定式化による数学モデル(モデル1,2,3)に基づいて、以下のように、反応速度論的モデルによる細胞の死滅率と、皮膚の熱傷を数学的に記述した損傷関数の関連性の検討を行った。モデル2と3は、二段の反応形態(一段の中間状態を考慮)で、二つの反応速度が前者では等しく、後者では異なる。モデル1は、中間状態を考慮しない一段の反応形態である。細胞の生存率(死滅率)に対する実験結果との一致の程度に関して、モデル2と3は同程度で、モデル1に優る。 ・損傷発生の閾値としての暴露温度に対する暴露時間依存性を調べ、火傷にける損傷関数と細胞の死滅率の定性的傾向が一致することを示した。 ・各モデルに対して、3通りの連結法を検討した。すなわち、細胞の死滅率と損傷関数の連結のための反応速度定数として、方法1)反応形態に対する代表的な反応速度定数(2つの反応速度定数の算術平均値、調和平均値、死滅率が0.5となる反応時間の逆数),方法2)2つの反応速度定数,方法3)総括反応速度定数を用いた(モデル1では方法1~3は等しく、モデル2では方法1と2が等しい)。 ・各モデルと連結方法において、連結特性(損傷関数の暴露時間依存性、損傷関数と死滅率の相関性)を詳細に解明した。 ・現在、温熱条件での細胞死滅に関して、暴露温度と時間を変化させ、死滅様式(ネクローシスとアポトーシス)の内訳を考慮した死滅率の実験を継続中であり、最終的に、その結果に基づいたモデルの検討を行う予定である。
|