2011 Fiscal Year Annual Research Report
繰返し荷重を受ける軟骨組織内での水分移動現象の動的NMR・MRI併用計測
Project/Area Number |
21360100
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 邦康 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50272703)
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Keywords | 物質輸送 / MRI計測 / NMR計測 / 分移動 / 生体組織 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、MRIとNMRを併用し、MRIで軟骨組織内部の画像計測を、NMRで表面近傍の含水量を動的に計測する「動的NMR・MRI併用計測」システムを開発することにある。計測システムを用いて、歩行時を模擬した1Hzの繰返し荷重を軟骨組織が受けている際の組織内での水分移動現象と組織構造の変化を動的に計測し、計測データを基に水分移動を含む軟骨組織モデルを構築することも研究目的としている。 上記の研究目的を達成するために、最終年度では以下の具体的な研究項目を実施した。 (3)界面近傍計測のためのNMR計測システム NMR計測を行うには、5個の小型NMRセンサーをアガロースゲルに接触させ、周囲をMRI用大型RFコイルで覆って磁場内に挿入した。NMRセンサーとRFコイルは離調回路に接続され、荷重を印加したアガロースゲルの水分移動量の時間変化をT2緩和時定数の減少と信号強度の低下から計測した。荷重印加直後から数分間にわたって水分は移動し、その後は定常的な分布となることが分かった。 (5)軟骨組織内部の水分移動特性のモデル構築 高含水量の軟骨組織内部の水の移動現象をモデル化するために、圧力による水分移動の項を拡散方程式に導入した。このモデルでは2次元軸対称の座標系を考え、水分移動の非定常対流・拡散方程式を解くことにした。アガロース内の応力分布の解析では壁面でノンスリップ条件とし、解析解を用いて圧縮応力を求めた。また、軟骨組織の水分移動特性としての物性パラメータでは、圧力と水分量変化量の関係式を別の静的な実験から求め、それを含めて方程式を解いた。 以上の結果を基にして、(1)から(4)で行われた実験結果と、(5)での解析結果とを比較することで、アガロースゲルの水分移動特性や水分拡散係数の推定値が求められた。
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