Research Abstract |
本申請研究では,様々なアプローチを用いて,クローラ型ロボットのオドメトリの実現を目指してきた.具体的には, 1)スリップ推定によるオドメトリ, 2)ビジュアルオドメトリ, 3)レーザ距離センサを用いたオドメトリを提案し,更にこれらの手法をロボットが自律的に使い分ける機能を実現することで,クローラ型ロボットのための安定したオドメトリの実現を目指してきた. 本年度は,各オドメトリ手法の実装と評価を中心に研究を進めてきた.まず, 1)スリップ推定によるオドメトリについては,路面形状や材質,クローラの材質が変化した場合でも,スリップ率推定には,ほとんど影響がないことを確認することができた.さらに,このシステムを三次元自己位置推定系に拡張することで,三次元オドメトリを実現した.また, 2)ビジュアルオドメトリについては,テレセントリック性を有する光学系を用いた手法に関する研究を進めてきたが,計測速度に限界があること(5cm/sec以下),テレセントリック性を実現するデバイス設置高さが,それほど大きく取れないことなどの問題点が見つかった.そこで,本研究では,レーザ光源の照射と高速イメージングセンサを利用した,新たなビジュアルオドメトリ系を開発した.その結果,230cm/secまでの計測が可能となり,さらに,デバイス設置高さの余裕も大きく取れることが分かった.一方, 3)レーザ距離センサを用いたオドメトリ手法については,旋回動作の際に問題が生ずるという点ならびに,処理時間がかかるという点から,直接的に効果を上げることができなかった.しかしながら,レーザ距離センサで地形情報を獲得することで,不整地安定走行機能を実現することができた.これは,不整地移動ロボットの位置推定に大きく寄与するものであり,大きな成果と言える.
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