Research Abstract |
能動スコープカメラは,柔軟ケーブルを繊毛振動で分布的に駆動する柔軟機構である.本研究は,柔軟索状体の全体形状や運動等を計測・状態推定することにより,瓦礫内での運動制御能力を向上させることを目的とする.具体的には,先端広角カメラの映像によるモーションステレオ,ケーブルに組み込む超小型慣性センサ等からの運動計測データをもとに,能動スコープカメラの力学モデルを用いて,分布的運動,形状,トラクションなど,柔軟ケーブル全体の状態を推定する.それに基づき,分布振動駆動と根元の運動を併用して,(半)自律的な運動制御を実現する. 研究計画に従って,本年度は,次の成果を挙げた. SLAMのモデルとして,Absolute Nodal Coordinate Formulationによる柔軟ケーブルの力学モデルを構築した.これに対して,ケーブル中間に設けられた分布姿勢センサと,先端のカメラから得られる画像列を用いることによって,Unscented Kalman Filterによって,環境中の地図を得ながら高精度に先端カメラ位置を推定すること,柔軟ケーブルの形状推定を行うことを可能にした.瓦礫環境下では,画像の特徴点が得られない,照明条件がケーブルの移動に伴って変化する,という問題があり,モーションステレオの適用が困難であったが,分布力学モデルによって,センサ密度が低い場合や外乱ノイズが大きい場合でも精度良く形状推定を行うことができる. 種々の条件の平面上を運動する能動スコープカメラについて,ケーブルの一端に任意運動を与えて制御しながら,形状推定の精度評価を行った.その結果,本手法によって精度が向上すること,少数のセンサでも精度良く推定できること,ケーブル全体の運動制御が可能であること,この手法ではセンサオフセットの悪影響があること,を実験的に明らかにした.
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