Research Abstract |
まず,グリッパの微小な位置・姿勢の制御を行う高精度微小張力制御とグリッパの速度・姿勢を急激に変化させる衝撃的大張力制御を実現する方法を検討した.具体的には,トルクを制御可能なヒステリシスブレーキに取り付けたバーにワイヤを引っ掛け,回転中のバーとワイヤの接触位置を制御可能とする,2入力の張力制御機構を試作し,理論および実験を通して各入力だけでは実現できない広いレンジの張力制御ができることを確認した.一方,高精度微小張力制御に関しては,ブレーキのコギングにより安定な最小張力制御域が制限されることが問題となり,これを改善するために,ワイヤの繰り出し経路上にブレーキを設置し,その先に設置した,伸びがアクチュエータにより制御されるばねで支持されたプーリにワイヤを通し,ブレーキの固定・解放の2状態とばねの伸びを制御量とする,新たな張力制御機構を考案し,設計・試作を行った.次に,物体を目標位置,姿勢,速度で把握するために,グリッパが物体へ接近するときの最終的な運動状態と目標状態との距離を表す評価関数を最小とする投擲角度・角速度ならびにワイヤ張力に関する制御変数を最適化手法により導出するアルゴリズムを開発した.また,投擲したグリッパで把持した物体を回収するための動作を実現するために,アームのスイング時の反動ならびにワイヤの引っ張り剛性を利用して物体を効率よく引っ張り上げる空中移動法を提案し,動的シミュレータにより,その有効性を確認した.さらに,ワイヤの引っ張り剛性を仮想的に変化させる機構を開発し,実機に組み込み,実験により精度良く物体を回収する動作を実現した.最後にグリッパの3次元空間運動を測定するために,2台の高速度カメラにより物体上に設置したマーカの位置をトラッキングすることによって,最大3mの距離を移動する物体の位置と姿勢を1msec毎に計測するシステムを構築した
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