Research Abstract |
以下の内容で研究を実施した。(I)支持構造の検討:圧電単結晶チップの共振を利用した圧電トランスは振動部品であるため,小形コンパクトな電源実現のためには,支持固定を的確に行うマウント方法が必要である。このため,有限要素法解析により振動パターンを厳密に求め,支持固定点を正確に定めた。また,支持棒長さ,取付け位置について検討した。以上の研究により,マウント方法確立の指針が得られた。(II)有限要素法による,負荷抵抗を考慮した連成振動解析の実現:前年度行った等価回路解析では,スプリアス振動や支持の影響をなどを導入することができなかった。そこで,23年度には有限要素法の特殊な使用方法である連成解析を使用できるように工夫し,実際の動作状態に対応した電圧比,効率の算出を行った。この結果,支持やスプリアスの影響を詳しく分析できるようになり,厳密な設計指針を得ることができた。(III)新しい構造の圧電トランスの考案と特性比較:種々構造の検討の結果,出力部電極面積を大きくとれる,寸法縦横比3×2ラーメモード共振を利用する圧電トランスの考案に至り、効率の比較の結果,縦横比2×2に比べ効率約10%向上できることが明らかとなり,最適構成条件を見出すことができた。(IV)圧電トランスの駆動回路:MOS-FETを用いた駆動回路について実験的に検討した。この結果,300~500kHz程度の高周波になると,FET端子間の容量のために効率が著しく低下し.特に接続インピーダンスが数十Ω以上では使用できないことがわかった。そこで,FETの後段に補助的に小さなコイルを入れ,FETの端子間容量との共振を利用する方法を考案し,20%程度の効率改善の効果を見出した。また,インピーダンスの高い圧電トランスの駆動には,ON抵抗が少し高くとも端子間容量が極めて小さい高速パワートランジスタの使用も有効であることを見出した。
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