2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能・ベクトル磁場検出磁気力顕微鏡の開発と超高密度磁気デバイスの磁化状態解析
Project/Area Number |
21360141
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齊藤 準 Akita University, 工学資源学部, 教授 (00270843)
|
Keywords | 磁気力顕微鏡 / ベクトル磁場計測 / 空間分解能 / 高密度磁気デバイス / 磁気記録媒体 / 磁化状態解析 |
Research Abstract |
非接触原子間力顕微鏡の一形態である磁気力顕微鏡を用いて、観察試料面に垂直な(A)垂直磁場の勾配と、観察試料面に平行かつ探針走査方向に沿った(B)面内磁場の勾配を同時に計測可能な2次元ベクトル磁場検出手法を新たに見出し、これを具備する高分解能・ベクトル磁場検出磁気力顕微鏡の開発ならびに超高密度磁気デバイスの磁化状態解析を目的として、以下の成果を得た。 1)2次元ベクトル磁場検出は、探針走査時の過渡振動による探針の振動周波数変化を利用する新規な面内磁場勾配計測を、従来の探針振動の位相変化を利用する垂直磁場勾配計測と併用することで行う。本年度は、汎用型の非接触原子間力顕微鏡にPLL回路を追加した計測系を導入し、画像化プログラムの追加により、表面凹凸像、垂直磁場勾配像、面内磁場勾配像、を探針の同一スキャンで計測・表示できる2次元ベクトル磁場検出磁気力顕微鏡を開発した。ここで面内磁場勾配計測は従来の垂直磁場勾配計測と同様に、探針走査速度等の測定条件に対して広い範囲で可能であった。これより2次元ベクトル磁場イメージングは簡便かつ有用な手法であることがわかった。 2)高分解能計測に重要となる高保磁力を有する10nm以下の極薄磁性薄膜で被覆されたFePt系ハード磁性探針を、地元企業と共同で開発し、10nm以下の世界最高水準の空間分解能を垂直磁場勾配像および面内磁場勾配像で実現した。新規な面内磁場勾配計測法では、従来の垂直磁場勾配計測法と比較して高い空間分解能が得られた。この原因は面内磁場勾配計測法が垂直磁場勾配計測法と比較して高次の磁場勾配を検出していることによる。 3)2次元ベクトル磁場検出手法を高密度垂直磁気記録媒体に適用し、記録トラックの内外および記録ビット境界の媒体磁化の不均一性を明瞭に観察することができた。
|
Research Products
(10 results)