2009 Fiscal Year Annual Research Report
光KFMによる太陽電池材料中の少数キャリアダイナミクスの解明
Project/Area Number |
21360143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 琢二 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (20222086)
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Keywords | ケルビン・プローブ・フォース顕微鏡 / 太陽電池材料 / 少数キャリア |
Research Abstract |
本研究では、多結晶系や薄膜系、ナノクリスタル系といった内部に微細な構造を持った太陽電池材料に対して我々が独自に開発中の光KFM手法を適用し、太陽電池の特性を決める重要なパラメータとしての少数キャリアの拡散長、寿命、移動度などのダイナミクスとその空間分布を多角的に、かつ、詳細に調べることによって、太陽電池材料改善への取り組みに貢献することを目的としている。 今年度は、まず、光起電力測定の基礎となる自己検知型カンチレバーを用いたKFMでの電位決定精度を改善するために、電位フィードバック用自作アルゴリズムに対していくつかの調整を加えた。その上で、一般の表面光起電力法と同様、照射光の波長を変えたときの表面光起電力の変化から、少数キャリアの拡散長を数値的に推定する方法を適用し、多結晶シリコン太陽電池における少数キャリア拡散長の面内分布を観測した。その結果、Σ3結晶粒界近傍では少数キャリア拡散長が徐々に減少するように見えることを明らかにした。このような結果は、横方向へのキャリア拡散も考慮に入れると、結晶粒界にてキャリアの再結合が促進されていることを示している。一方、試料内の内蔵電界による光励起キャリアの空間分離効果を解明するために、KFMと走査トンネル分光法(STS)を併用することによってバンドプロファイルの実験的な評価を行った。その結果、Cu(InGa)Se2系化合物半導体太陽電池においては、結晶粒界近傍に強い内蔵電界が存在し、それによる電子-正孔の空間分離効果によって両者の再結合が抑制されている可能性があることを見出した。これは、多結晶シリコン太陽電池では見られない特長である。
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