2010 Fiscal Year Annual Research Report
10GHz帯対応共鳴周波数を有する大飽和磁化・超高異方性磁性薄膜デバイスの開発
Project/Area Number |
21360145
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 茂樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60180246)
|
Keywords | 大飽和磁化 / 高磁気異方性 / FeCoB / 異方性磁界 / 高共鳴周波数 / 磁歪 / 高周波透磁率 |
Research Abstract |
1.大飽和磁化と高い異方性磁界を有するFeCo薄膜の異方性発現機構の解析 Bの添加量と薄膜内に観測される異方性残留応力の分布と応力誘起の磁気異方性エネルギーとの関連性を調べた。特に膜厚方向に結晶歪みの状態を調べることにより、膜成長とともに結晶歪みが増加し、磁気異方性を発現するためにはFeCoB膜を20nm以上の膜厚にする必要があることが分かった。また、この歪みの発現する最小膜厚はB添加量に依存して変化することも確認された。これは結晶格子内へのB原子の侵入が異方的残留歪みの形成に重要なことを示している。 2.FeCoB薄膜の結晶配向性と異方性磁界の関係 磁気異方性が発現するFeCoB薄膜は(110)配向の磁性膜であったが、(100)配向したFeCoB薄膜をMgO(100)配向膜の上に形成し、結晶構造の異なる系で残留歪みの発現による磁気異方性の発現可能性を探った。(100)配向膜では大きな異方性磁界は観測されなかった。このことから、異方的残留歪みの発生には(110)配向のbcc結晶格子を有するFeCo膜が有効であることが判明した。 3.高周波透磁率特性評価システムによるダンピング定数αの評価 強磁性共鳴特性の評価を作製条件の異なる膜に対して系統的に評価した。強磁性共鳴周波数とともに、共鳴点での緩和を表すダンピング定数αの評価ができるように調整することができた。
|