2011 Fiscal Year Annual Research Report
10GHz帯対応共鳴周波数を有する大飽和磁化・超高異方性磁性薄膜デバイスの開発
Project/Area Number |
21360145
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 茂樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60180246)
|
Keywords | 大飽和磁化 / 高磁気異方性 / FeCoB / 異方性磁界 / 高共鳴周波数 / 磁歪 / 高周波透磁率 |
Research Abstract |
1.FeCo系薄膜のB,N添加量制御による高残留異方性歪みの実現 成膜後の薄膜に観測される異方的な残留歪みを主に解析した。異方的な残留歪みはスパッタ粒子やターゲットでの後方散乱粒子(反跳高エネルギー粒子)の基板面への入射方向に伸長し、またその直交方向に収縮することを面内X線回折による解析で明らかにした。この伸長収縮効果のB添加量依存性を調べたところ、B添加量が5%程度で残留内部歪みの異方性が最大となった。 2.反強磁性バイアス層の付与および多層化による磁区構造制御 極薄のSi/NiFe層でFeCoB層を分割することにより多層膜を形成したところ、NiFe層の(111)配向度が向上し、FeCoB中のbcc-FeCo結晶子の(110)配向度が向上することがわかった。また、多層化によりプロッホ磁壁の発生が抑制できる磁区制御技術の開発に成功し、垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層として適用できる可能性のあることが分かった。 3.膜微細加工の導入とその影響の評価 異方性歪みが顕著な膜厚依存性を示すことから、薄膜堆積・成長機構との関連性があると考えられ、膜堆積の初期段階でレーザ変位計を用いてin-situで膜内部の応力を計測できるシステムの構築に取り組んだ。その結果、極薄膜領域での応力変化の観測には成功したが、変位計の真空チャンバー内での動作に問題があることが分かった。 4.高周波応答の高調波発生の確認 強磁性共鳴特性の評価を膜厚の異なる膜に対して系統的に評価した。基本的には膜の異方性磁界で決まる強磁性共鳴周波数に一致する結果が各膜厚で得られたが、その半値幅は膜厚とともに変動し、膜厚方向の不均一性に基づく共鳴点の分散に基づくものと推論されるが、ダンピング定数の起源と合わせて議論することが重要であることが分かった。
|
Research Products
(9 results)