2011 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバMIMO通信技術創出に向けての多重空間モード分離・結合デバイスの研究
Project/Area Number |
21360156
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 淳 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (40224068)
|
Keywords | 空間モード分割通信 / アポダイゼーション / ホログラム / モード励振 / マルチモードファイバ |
Research Abstract |
本研究の目的は、通信容量の飛躍的拡大をもたらす空間モード分割多重通信技術の実現を可能にするため、キーデバイスとなる微細な空間モードの分離・結合デバイスを新たに創出することにある。本年度は、まず、空間モード光の結合に関して、光結合素子となる2重位相共役器の性能改善を目的として、回折格子を空間的に変調するアポダイゼーションによる特性改善効果を数値シミュレーションによって確認した。本手法は、これまで効率良く用いられていなかった周辺の媒質領域を活性化し、素子全体の特性改善を実現できる点で意義がある。次に、モード分割多重通信に必要となる空間モードの励振技術を新たに開発した。マルチモードファイバへのモード励振は、これまで単純な空間フィルタを用いる方式が提案されているが、本研究では、空間光変調器を可変ホログラムとして動作させ、その回折光をマルチモードファイバに結合することによって、可変的な空間モード励振に成功した。また、モード励振法の高性能化を目的として、体積ホログラムを用いた複数空間モードの同時励振素子を新たに提案し、その基本動作を検証した。さらに、励振した空間モード光をファイバ中に伝搬させ、その伝搬光によってモード分離器である多重ホログラムを記録する実験にも成功している。このようにして生成されたモード分離用の多重ホログラムに対して、再度、特定の空間モード光を照射することでモードの分離を確認した。以上の研究成果は、いずれも空間モードを用いた通信を達成する上で必須の技術であり、1本のマルチモードファイバを複数のシングルモードファイバとして機能させ通信容量の増大を図る上での基盤となる技術である。
|