2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール素子における長距離クーロン相互作用のシミュレーションによる研究
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21360160
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 伸行 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90282334)
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Keywords | 半導体デバイス / デバイス・シミュレーション / ボルツマン輸送方程式 / モンテカルロ法 / クーロン相互作用 / 電子輸送 / 計算物理 / 半導体物性 |
Research Abstract |
クーロン相互作用を高精度に導入したモンテカルロシミュレータにデバイス構造(ダブルゲート構造)を導入したうえで、ナノスケール構造での電子輸送機構の物理的な解明を目指した。特に、チャネル電子と高濃度領域電子とのクーロン相互作用とデバイス特性との相関を定量的に明らかにした。具体的には、以下のような項目を検討した。 (1)クーロン相互作用を正確に考慮した3次元デバイス・モンテカルロ・シミュレータを用いて、チャネル長とデバイス特性(性能)との関係を明らかにした。特に、チャネル長を50nmから5nmにわたって変化させて、クーロン相互作用による伝達特性劣化の可能性を定量的に明らかにした。 (2)ポテンシャル揺らぎの状態密度を調べることで、ポテンシャル揺らぎの確率分布をデバイス内の各領域で調べた。その結果、高濃度にドープされたソース内においても、実効的な状態密度のバンドテールの大きさがチャネルに近づくにつれて減少することを見出した。これは、これまで準熱平衡状態と考えられていたソース内も非平衡状態が顕在化していることを意味する。 (3)クーロン相互作用によって予測されるデバイス特性の劣化の物理機構を明らかにした。自己無撞着シミュレーションで求めたデバイス内のポテンシャルの時間平均を求め、デバイス内の電子の感じるクーロンカを自己無撞着ポテンシャルと固定ポテンシャルのもとで求めることで、動的なクーロン相互作用によるデバイス特性への影響を定量的に明らかにした。 クーロン相互作用を含む高精度な3次元モンテカルロ・デバイス・シミュレーションは、世界的にも本研究グループとIBMグループのみが実行可能である。これまでの研究成果は、当該分野で最も権威ある国際会議SISPAD(Bolognaで開催)において、招待講演を行った。
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Research Products
(4 results)