Research Abstract |
本研究では,人間の指先に匹敵する鋭敏な触覚機能を有し,かつ,医療診療器具などの局所作業用器具の先端への実装も可能な超小型・高精細のフレキシブル触覚センサの実現を目指している。 本年度は,接触対象の表面温度特性計測要素の確立と,その機能を集積化したデバイス実現,ならびに,これまで実現した各種計測要素機能の統合による集積型シリコン触覚イメージセンサの形成を行った。本触覚センサデベイスは,シリコン半導体集積回路技術を用いた機能集積型デバイスであり,シリコンで形成できる様々なセンサ機能を微小空間内に集積化して,従来のセンサにはない,新しい触覚検知機能を実現している。本年度の研究により,触覚センサの画素回路内に温度センサ回路を集積し,本センサの構造的特徴である指紋構造体を熱伝達媒体として利用しながら,接触対象物の表面温度特性を計測することに成功した。本機能を用いることで,測定対象の物性がより明確に区別可能となり,対象の材質や性質をより高精度に判別することが可能となった。 本年度は,これまでに実現された各種要素の統合化による機能集積型シリコン触覚イメージセンサを実現した。これまで開発を進めてきた「指紋構造」を一層改良し,より簡便な操作で触覚計測が可能となる新しい指紋構造の形成に成功した。昨年度に開発した「3軸力覚」,「分布型振動覚」に加えて,本年度新たに開発した「表面温度特性」の計測機能を高密度に集積化して,人の指先における「触感覚」を人工的に実現する人工皮膚型触覚イメージセンサを製作した。基本的な機能検証の結果,十分な性能を発揮していることすでに確認されており,次年度において,センサの詳細な性能評価試験と,新しいセンサ応用に向けた実証実験を進めてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集積化触覚センサにおける各種センシング要素の研究は順調な成果を上げており,当初の目標を十分クリアするだけの高い性能を実現できている。本研究が最終的に目指している「局所高精細触覚イメージング」の実現に向けたデバイスの完成も目前であり,最終年度にその評価を実施できる見通しである。
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