2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子輸送シミュレータによる極限シリコン新構造・新材料デバイスの設計
Project/Area Number |
21360171
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 真人 Kobe University, 工学研究科, 教授 (40177142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 聡文 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20432560)
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Keywords | 微細化MOS / 量子輸送解析 / 非平衡グリーン関数 / 多バンド強束縛近似 / 歪効果 |
Research Abstract |
本年度の研究では,超微細化MOS素子などのナノ構造デバイスにおける輸送特性を予測・再現するために,電子の波動性を厳密に取り入れることのできる非平衡グリーン関数(Non-Equilibrium Green's Function : NEGF)法に基づきさらに素子の構成原子の個性を記述できる原子軌道展開を利用した多バンド強束縛近似法を取り入れた多次元の量子輸送シミュレータを開発した.将来のトランジスタ構造であるDouble Gate(DG)MOSFETおよびSi Nano-Wire(NWM)MOSFETの特性解析と設計をすることを目的としている。 以下の2点を手法として取り入れることが可能となった。 (1)多バンド強束縛近似法によるSi薄膜の電子状態の解析 (2)sp3s*d5多バンド強束縛近似非平衡グリーン関数(Multiband Tight Binding NEGF : MTB-NEGF)法とPoisson方程式とのセルフコンシステント計算に基づく歪を取り入れたMOSFET特性の解析 Si MOSFETチャネルのような薄膜構造のバンド構造をsp3s*d5強束縛近似法によって解析すると,量子閉じ込め効果により直接遷移型バンド構造になり,薄膜の厚みが増すにつれてバルクの間接遷移型に近づくことが明らかになり,また,別途第一原理法による結果と一致することから本手法は,薄膜バンド構造を精度よく再現できる簡便な手法であることが分かった。 一方,多バンド強束縛近似NEGF法DGMOSFETの解析に適用した結果,歪によるバンド構造の変化が生じ,その結果ドレイン電流電圧特性のチャネル方向の引っ張り歪によりチャネル電流が増大することが分かった。これは,チャネルボトルネック付近での電子密度の増大によるものであり,歪によるバンド構造の変化(バンド端の移動等)に伴うものである。
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