2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドpn接合を利用した負性電子親和力デバイスの研究開発
Project/Area Number |
21360174
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小泉 聡 National Institute for Materials Science, センザ材料センター, 主幹研究員 (90215153)
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Keywords | ダイヤモンド / CVD / pn接合 / 負性電子親和力 / 冷陰極 |
Research Abstract |
ダイヤモンドpn接合を用いた高効率で安定性に優れた電子放出源の開発を目的に、本年度は、薄膜形成および評価実験系の整備とpn接合エミッターの初期的な基本構造試料の作製、電子放出基礎特性の評価を行った。単結晶ダイヤモンド基板表面にリンドープn型ダイヤモンドおよびホウ素ドープp型ダイヤモンド薄膜を積層してホモエピタキシャル成長させ、メサ構造加工によりpn接合エミッターを形成した。n型ダイヤモンドの膜厚は10μm、p型ダイヤモンドは0.5μm程度である。メササイズは直径0.25mmで、その中央が直径0.15mmのオーム性電極によりカバーされる構造を持つ。電極ギャップは0.15mmである。電子放出特性の評価は超高真空(10^<-7>Pa以下)環境で精密に温度制御されたプローバシステムを用いて行われた。200℃における実験では1.6%の電子放出効率を観測し、30μAの放出電流(0.1A/cm^2)が長時間安定に得られた。電子放出効率としては目標設定した3%の半分に既に達しており、放出電流量は既に目標値を大きく上回った。放出電子のエネルギーはp型ダイヤモンドのフェルミ準位を基準に4.1eV程度で、1eVほどの分散を持つものであった。これは、負性電子親和力を持つ水素終端ダイヤモンド表面からの穏やかな電子放出が実現されたことを示している。電子放出エリアはメサ断面に露出したpn接合界面のみならず、メサ上部のp型ダイヤモンド表面にほぼ均一に分布することが分かった。
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