Research Abstract |
1.眼球運動成分(眼電図,EOG)が混入している脳波から,EOGを取り除く手法を,多変量経験的モード分解(MEMD)を用いることで構築した.この方法では,参照信号としてのEOG(脳波も混入している)と,各チャンネルの脳波を同時に観測し,それらを対にしてMEMDを適用する.このアルゴリズムを実信号に適用する実験を行い,スパイク状の眼電位が観測される観測脳波から,不要成分と目的成分が明確に分離され,クリーンな脳波成分のみの抽出が可能になることを確認した.さらに,従来の単変量EMD(UEMD)を用いる従来手法に比べて,格段にEOGの除去精度が向上した. 2.BCIに関連する成分が存在する電極の空間分布と,周波数の帯域分布を同時に求める手法を確立した.これにより,脳波から効率よく目的成分を抽出できるようになっただけでなく,脳波のみから意味のある帯域を特定できる様になり,脳波解析の幅広い分野に適用可能になったといえる. 3.ロボットを遠隔操作するBCI実験のプラットフォームを世界で初めて作製した.このシステムでは,本研究課題で措置した最大32チャンネルまで計測できる生体アンプを用いて取得した脳波を信号処理することで,ユーザの意図するコマンドを特定する事ができる.ロボットは,Wifiや携帯電話の3G回線を用いたインターネット経由でコマンドを受信して,動作する.また,ロボットのカメラ画像はリアルタイムにユーザ側に伝送されるため,ユーザはロボットの動作を理解できる.これにより,BCIのアルゴリズムを日常環境でテストすることがはるかに容易になった.
|