Research Abstract |
まずサンプル値フィルタの適応更新則については,重み関数が1次系の場合に完全な階を得たが,2次以上の場合については困難があり,次年度に持ち越した.一方,音声復元においては,録音不可避的に発生する位相歪をも含めてこれを補償する方法が見出された.これにより高域の位相歪のない高忠実度再生,復元が可能となった. 他方,画像処理においては,従来サンプル値フィルタ理論を用いても画像にギザギザのジャギーな部分が残ることが大きな問題であったが,これに対して,適切なローパスフィルタによる前処理あるいはそれと同等なサンプル値フィルタ処理を行うことによって,このジャギーな部分を緩和しつつ,しかも細部の高周波成分を最適に復元し得る,超解像度処理方法を開発した.これは従来手法である,バイキュービック法,ランチョス法,あるいは最新のTVノルム最適化法等を上回る性能を有するもので,今後この方面への多様な展開が期待されるものである.かつこの超解像度処理については,現在動画処理への応用も進めており,処理速度についても現実的な範囲での処理を行い得るめどが立った,これについては引き続き次年度検討を進める. その他の主な成果として,本方法によるスプライン関数の最適構成,分数次遅れフィルタの設計法とそのピッチシフトへの応用が挙げられる.前者は新しいsプライン近似の構成法を与え,後者は上に述べた重み関数が1次の系に対してではあるが,フィルタの適応則の閉じた公式を与えることに成功した。これによって,ピッチシフトにおいて必要となる動的な分数次遅れのフィルタの構成が可能となったのは特筆すべきであろう.その他一般のの場合においても,この分数次遅れに対するフィルタを準適応的に構成する方法を与え,従来法を上回る性能が得られることが明らかとなった.
|